2011 Fiscal Year Annual Research Report
北欧における高齢者介護のニーズ判定方法に関する実証的研究
Project/Area Number |
23330175
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石黒 暢 大阪大学, 世界言語研究センター, 准教授 (20273740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山井 弥生 (斉藤 弥生) 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (40263347)
吉岡 洋子 頌栄短期大学, 保育学部, 准教授 (80462018)
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Keywords | 介護 / 北欧 / 高齢者福祉 / デンマーク / スウェーデン / ケアマネジメント / 要介護認定 |
Research Abstract |
本研究は、北欧における高齢者介護のニーズ判定方法に焦点を当て、高齢者介護政策の近年の動向のコンテクストから分析し、それが実際のケア提供に与えるインパクトを多角的に捉えようとするものである。今年度は研究計画通り、研究会開催に重点を置き、先行研究のレビューを行うとともに、研究代表者と研究分担者のそれぞれがスウェーデンとデンマークに行き、ヒヤリング調査を行った。デンマークやスウェーデンでは、ホームヘルプ供給主体の多元化により、ホームヘルプ供給部門とニーズ査定部門を分離させたBUMモデルという体制がとられるようになっており、利用者自らがサービスを受ける事業所を選択するにあたって、ニーズ判定部門が、公的ホームヘルプ利用に誘導しないよう、その中立的立場を確保している。しかし、スウェーデンでは行政が助言を行い、利用者の選択を一定程度サポートしていることが明らかになった。一方、BUMモデルの導入により、介護現場と日常的な接触を持たない判定員がニーズ判定を実施することになり、その是非が問われている。研究を進めるなかで、デンマークやスウェーデンの介護とニーズ判定の諸相をより的確にとらえるために、日本の政策や現状を詳細に分析し、北欧と比較分析する必要が生じてきた。そこで、まず現場でケアを提供する介護職員への国際アンケート調査を日本で実施し、北欧の調査結果(すでに調査は終了している)と比較分析することになった。日本の介護現場の協力を得て第一回目の調査を実施し、介護職員が抱えているジレンマや制度の不備が明らかになった。24年度以降は第2回目の調査を実施し、結果をより詳細に分析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究レビューや現地調査、日本での調査を実施することができ、北欧における高齢者介護のニーズ判定方法に焦点を当て、高齢者介護政策の近年の動向のコンテクストから分析するための基礎的研究を遂行することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は日本の介護労働量的調査を引き続き実施し、スウェーデンの調査結果と比較分析を行う。さらにスウェーデンとデンマークでの現地調査に向けて準備を行う。25年度以降は現地調査を実施し、結果を分析し、成果を発表するために国際学会での報告、シンポジウムの開催などに結び付けたいと考えている。
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