2012 Fiscal Year Annual Research Report
スクールソーシャルワーカーの専門性向上のためのスーパービジョン・プログラムの開発
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23330179
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
門田 光司 久留米大学, 文学部, 教授 (50269081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比嘉 昌哉 沖縄国際大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50342431)
鈴木 庸裕 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (70226538)
半羽 利美佳 武庫川女子大学, 文学部, 准教授 (70330503)
大門 俊樹 東京福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (80594647)
奥村 賢一 福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (90584699)
川西 知美(浜田知美) 四国学院大学, 社会福祉学部, 准教授 (50412416)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スクールソーシャルワーカー / スーパービジョン / 学校ソーシャルワーク |
Research Abstract |
平成24年度の研究計画は、アメリカ・カナダ及び国内調査の実施、国際学会への研究成果の発表である。 アメリカでは、①シカゴ・パブリックスクール事務所(教育委員会)のスクールソーシャルワーカー(以下、SSWと記す)・スーパーバイザーへのインタビュー、②スーパービジョン・プログラムを開発しているロヤラ大学准教授からのプログラム概要、及びグループスーパーバイズを行っているグループリーダー4名からの具体的な展開過程とその課題についてのインタビュー、③イリノイ大学准教授からのSSW養成プログラムでの実習内容についてインタビューを行った。調査結果では、SSWの役割遂行のための管理的スーパーバイズが非常に参考となった。特に、ロヤラ大学のスーパービジョン・プログラムは世界的に注目されているものであるため、本研究テーマでのスーパービジョン・プログラム開発には大いに役立った。 カナダでは、①オンタリオ州教育省のSSW管理部門の担当者へのインタビュー、②トロント市のチーフSSW4名からスーパービジョンの取り組みのインタビュー、③SSW2名へのインタビューの調査を実施した。調査結果では、オンタリオ州ではいじめ問題の深刻化と子どもたちの精神保健支援が重視されており、その役割にSSWが不可欠であることが報告された。また、スーパービジョンについては、チーフSSW及びSSW自身より、ピア・スーパービジョンを中心に定期的に実施し、SSWの専門性の向上及び精神保健の保持を図っていることが明らかになった。 国内調査は平成23年度からの継続調査を実施した。また、国際会議での発表では、アジア・太平洋ソーシャルワーク会議(スウェーデン・ストックホルム)にて、わが国でのSSWのスーパービジョン課題について発表した。会議に参加している各国のSSWより自国の状況を踏まえて有意義な意見及び情報の交換ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究目的はスクールソーシャルワーカー(以下、SSWと記す)の専門性を向上するためのスーパービジョン・プログラムを開発することにある。そのための研究計画では、次の5つの研究を5年間にて実施していく。①国内調査の実施(平成23年度)、②海外調査の実施(平成23年度・24年度)、③スーパービジョン・プログラムの開発(平成25年度)、④開発したスーパービジョン・プログラムの有効性の実践検証(平成26年度)、⑤開発したスーパービジョン・プログラムのマニュアル冊子刊行及び「全国SSW・スーパーバイザーネットワーク協議会」の設立(平成27年度)である。 研究開始の平成23年度の国内調査は、SSWのスーパーバイザーを配置している自治体17か所に8か所を加え、25か所の聞き取り調査を実施した。調査結果では、SSWへのスーパービジョンの内容、実施回数、対象者人数等、各自治体独自で行われている実態が明らかになった。いずれのスーパービジョンもSSWの事例を検討するものが主であったが、スーパーバイザーの経験的知見でスーバービジョンが実施されている状況にあった。そのため、全国的なレベルでSSWの専門性を向上していくうえで、スーパービジョン・プログラム開発の必要性が見出された。 海外調査では、平成23年度に韓国、平成24年度にアメリカ、カナダで実施した。韓国ではSSWの人材養成におけるスーパービジョン・プログラムは開発されているが、SSW自身へのスーパービジョン・プログラムの開発が課題であること、アメリカではスーパービジョン・プログラムを開発しているロヤラ大学准教授からのプログラム概要の情報が得られたこと、カナダではピア・スーパービジョンの取り組みのあり方についての情報が得られたことなど、有意義な情報収集ができた。 以上より、平成23年度及び平成24年度に予定していた研究計画は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、スクールソーシャルワーカー(以下、SSWと記す)の専門性を向上するためのスーパービジョン・プログラムの開発と実施方法マニュアルを作成する。内容としては、スーパービジョンの「教育的機能」に焦点をあて、SSWのスキルアップに求められる専門技術項目(面接技術・情報収集能力・コミュニケーション能力・学校と他機関の調整及び協働技術・他)に関して、韓国・アメリカ・カナダでの調査結果及び資料、スーパービジョン関連の研究論文を加味して『SSW専門技術チェックリスト表』を作成する。このチェックリスト表をSSWの専門性評価尺度として使用していく。 また、「全国SSWスーパーバイザーネットワーク協議会」(仮称)の設立に向けて、SSWスーパーバイザーによる準備会議を開催する。その会議にて、各自のスーパービジョンの実施内容及び状況についての意見交換、開発したスーパービジョン・プログラムの意見交換を行う。 この準備会議を通して、平成26年度にはスーパービジョン・プログラムの有効性を検証するために、SSWスーパーバイザーによるスーパービジョン・プログラムを実施していく。平成26年度末にその有効性を評価するが、その評価表としても活用するのが『SSW専門技術チェックリスト表』である。 なお、平成25年度は国内及び国外調査結果をまとめた報告書『スクールソーシャルワーカーのスーパービジョン-国際比較研究』を刊行する。 科研費最終年の平成27年度は開発したスーパービジョン・プログラムと実施方法マニュアルをまとめた冊子『スクールソーシャルワーカーのためのスーパービジョン・プログラム』を刊行し、SSW事業を行っている教育委員会やSSW、関係団体に配布及び研修事業を行う。また、「全国SSWスーパーバイザーネットワーク協議会」の設立、国際シンポジウムと国際セミナーを開催していく。
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Research Products
(8 results)