2012 Fiscal Year Annual Research Report
10年間の時系列データに基づく高齢者ケアのサービス・コストに関する日瑞比較研究
Project/Area Number |
23330184
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
訓覇 法子 日本福祉大学, 福祉経営学部, 教授 (10329766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹川 修 日本福祉大学, 地域ケア研究推進センター, 研究員 (20469042)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 高齢者福祉 / 長期ケア / 要介護高齢者 / サービス・コスト格差 / 日本とスウェーデン比較 |
Research Abstract |
平成24年度の研究実施計画に基づく主な作業は、平成23年度に引き続き、スウェーデンのデータ収集は完了していたため、日本の高齢者ケアのサービス・コストに関する介護保険制度創設以降の10年時系列データ(要介護認定データ、保険者向け給付実績情報、介護保険給付審査決定請求明細書)の収集とデータセットの作成であった。収集にあたってもっとも重要な目的・条件は、日本全国の代表性を反映するデータセット作成であった。収集は、本プロジェクトからデータ提供依頼を行い、自治体の研究趣旨への賛同を取り付け、データの有無や所在を確認し、具体的なデータ提供を得るという段階的方法によって実施した。しかし、保険者が独自で管理する古いデータの破棄や欠損、庁外へのデータ提供による個人情報保護等への危惧、提供作業に関する人的資源の欠落などから、想定以上の困難が待ち受けていたためにデータ収集完了にまで計画以上の時間を要した。合計16の自治体に依頼し、結果的には9自治体(大中規模都市、一般都市、小規模都市)からデータ提供を受けることができた。最終のデータクリーニングを経て、スウェーデンのデータセットとの統合作業が終了したのは2013年2月末であった。全国の代表性からみると、データセットの高齢化率は幾分低い(約2%)が総体的に条件を満たした内容だといえる。 また、本研究に必要な日本の高齢者一般の健康推移分析のために、日本大学「健康と生活に関する調査」(代表研究者齋藤安彦、2001,2003,2006,2009年のパネル調査)から、必要なデータ提供を受けた。スウェーデンのデータに関する第一次分析は既に今年度の春に終えているが、現在日本データの第一次分析を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スウェーデンのデータ収集とデータセット作成は計画通りに完了し、既に第一次分析を行った。また、日本大学「健康と生活に関する調査」データの提供も受け、調査期間の推移分析も行うことができた。しかし、日本のデータセットに関しては、古いデータの破棄や欠損、庁外へのデータ提供による個人情報保護等への危惧、提供作業に関する人的資源の欠落など多様な要因からデータ収集作業が約半年遅れたために、データクリーニング作業や日瑞両国データ突合作業も遅れることとなった。遅れは出したが、現在日本のデータの第一次分析を実施中であり、日瑞両国の比較分析は計画通り開始できる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に実施した日本自治体のデータ収集が自治体の事情によって若干遅れたが、平成25年度の取組みは、当初の計画通り日本とスウェーデン両国のデータセットの比較分析作業を推進する。分析方法と過程は、以下のような分析構造に基づき、段階的に実施する。特に、コスト分析は、コストを左右する要因を明らかにするために、コストの構成要素を順次分解して実施する。 分析構造の第1は、人口構造の変化(高齢者数、性別、年齢別高齢者の割合)であり、第2は日本大学「健康と生活に関する調査」を活用した健康状態の変化、第3は日瑞二国のケアシステム(ケア文化、諸権利、ニーズ認定システム)の変化、第4は要介護高齢者(性・年齢別)数の変化、第5に一定の要介護度に対する要介護高齢者の特徴、第6に一定の要介護ニーズ・機能低下に対するサービス給付と利用の変化、最後はコストの推移である。 上記結果を分析報告としてまとめるとともに、我が国における保険者等、両国データ提供者への報告をセミナー形式で秋に実施するとともに、研究結果を課題別に論文にまとめ、国内および国際学会誌(英語)に投稿する。また、国内外の関連学会においても研究結果を発表する。
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