2012 Fiscal Year Annual Research Report
障害者施設職員のメンタルヘルス予防対策の検討ー福祉現場の職階に視点をあてて
Project/Area Number |
23330188
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
峰島 厚 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (30149512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大岡 由佳 武庫川女子大学, 文学部, 講師 (10469364)
山本 耕平 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (40368171)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 社会福祉 / 障害者福祉 / 障害者施設 / 従事者 / 職場復帰プログラム / メンタルヘルス / 福祉労働 / キャリアパス |
Research Abstract |
本研究は、障害者施設で働く従事者のメンタルヘルスに関する量的調査結果を踏まえて、その職階の在り方を中心に予防対策を検討する。2012年度の研究実績は、以下のようになった。 (1)量的調査から、職務上の課題として、実践における議論による成長と、管理能力の育ちに焦点をあてて、大阪・京都の障害者施設職員に意識調査を設計し実施した。予備調査等を経て2013年2月に配布し、3月に1777名のうち1069名から回答を得た(回収率60.2%)。今後この分析によって、職員の職務上の成長及びキャリアパス上の育ちの矛盾が明らかにされ、予防対策が検討できる。 (2)前記調査は、この間に量的調査を実施し、それによる講習等の試行を重ねてきた対象への調査である。したがって全国の実態とは言い難い。それゆえに、全国から、就労継続B型及び生活介護事業1500を抽出し、管理者からの実態把握調査を実施した。2013年2月に実施し、3月に646か所からの回答を得た(回収率43.1%)。今後この分析によって、ほとんど対策が講じられていない障害者施設への提言課題も明らかにされる。 (3)量的調査ですでに明らかにされてきた20歳代後半からの中間管理職、及び40歳代後半の管理職特に女性のストレス課題については、職場の「気づき」と早期対応、すでに治療が必要になっている人の対策を重点課題にし、5回の障害者施設職員を対象にしたモデル講習(講義・グループワーク)を経て、テキストの第一次案を作成し刊行した。「福祉現場におけるメンタルヘルス研修用テキスト(第一次案)」44ページ、「障害者施設におけるメンタルヘルス不調者への労務管理ガイドライン(第一次案)」151ページ。 (4)これらをもとに、障害者制度改革の動向を踏まえて提言を作成したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、3つの班(①職調査班ー職務上の意識調査、全国実態調査、②早期対応の講習会用テキスト作成班-20歳代の若者・中間管理職と40歳代の管理職・徳に女性を中心に、③不調者対策のガイドライン作成班-復帰プログラムまで)を構成し、文献検討、現場ヒヤリング、模擬講習などをそれぞれに実施し、かつ全体会では障害者福祉の動向を学習したうえで進行を調整してきた。 その結果、当初の予定通り、①調査班では、調査の実施と、分析に足る回収数を得てきた。②講習用テキスト班では、第一次案を刊行できた。③ガイドライン作成班も、第一次案を刊行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
障害者福祉制度改革は引き続き続いている。この影響を受ける障害者施設職員であり、動向を捉える課題を重視しつつそれに即した予防対策のまとめをしていく。 すでに「早期対応課題」「不調者対策」については、現場での講習用テキスト・ガイドライン第一次案を作成してきた。今後、この普及と合わせてモデル講習とヒヤリングなど現場での検証をさらにすすめ、最終案を作成する。特に若者、40歳代女性という生涯発達の視点をさらに強化する。 職務上の成長と、キャリアパス上の育ちの矛盾については、調査分析において、上記の若者・中堅・管理職・40歳代女性との関係を重視し、具体的な予防対策を明らかにしていく。なお一定の分析後に、現場での検証も進める。 そのうえで、全国実態調査から明らかにされた「遅れた実態」をもとに、障害者施設一般に適用されるべき予防対策の課題を明らかにする。 具体的には、書籍による刊行を予定している。なおほとんどが小規模事業所に該当する障害者施設である。障害者施設における福祉労働という固有性を配慮した横断的な予防対策システムが必要である。前例はほとんどないが、医療機関等の先進的取り組みに学びつつ、この点は基本的方向のみを提起したい。
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Research Products
(11 results)