2011 Fiscal Year Annual Research Report
社会的場面における自己制御-目標葛藤、資源枯渇、そしてリバウンドを越えて
Project/Area Number |
23330193
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
村田 光二 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (40190912)
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Keywords | 自己制御 / 感情予測 / 達成動機づけ / 目標 / 障害 / 防衛的悲観主義 / 対抗的楽観主義 / ステレオタイプ脅威 |
Research Abstract |
平成23年度には、まず、学内の共有スペースに2室実験室を確保して整備を行い、秋以降に自己制御に関わる実験を実施した。1つが、ステレオタイプ脅威に由来するパフォーマンス低下を、防衛的悲観主義者が回避可能かどうかを検討したものである。残念ながら脅威の操作が成功せず予測した結果が得られなかったが、こういった個別実験が可能であることを確認できた。また、大きな障害が予想される課題であえて楽観的に予測することで動機づけが高まるという、対抗的楽観主義の実験も実施した。この実験では、正確な予測を求めない場合には、障害が小さな条件より大きい条件において外国人への援助行動の時間が増えるという結果が示された。次に、大学の授業を利用して、感情予測が達成行動に及ぼす影響を調べる2つの実験を実施した。1~2週間後に迫った実際の試験を想像させて、目標とする成績を上回った場合、下回った場合、あるいは特に状況を限定せずに試験後に生じる感情状態を予測させ、今後の勉強時間の予測や動機づけへの回答を求めた。1つの授業では、時間外に一部の学生を集めて事前の質問紙実験を実施し、試験後に自宅等で事後調査に回答を求めて郵送で返送させた。もう1つの授業では、受講生全員を対象に事前調査を実施し、試験時間中にやはり全員に事後調査を実施した。しかし残念ながら、ポジティブ感情予測およびネガティブ感情予測とも、試験勉強を動機づける結果は得られなかった。今後は、個人差変数を組み入れて分析を行ったり、許可を得た学生については実際の成績を指標とした分析を行う予定である。また、感情予測の操作をより妥当でインパクトのあるものにしたいと考えている。さらに、楽観的なポジティブ予測の場合と悲観的なネガティブ予測の場合では影響の過程が異なると考えられるので、各々をきちんとモデル化したうえで実験を組み立てたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験室の整備に時間がかかったことが1つの理由である。また、感情予測が達成行動の動機づけに及ぼす影響の研究では、授業を用いた現場実験で予測した結果を得られなかったことがもう1つの理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に、これまでの手続きを改善して、感情予測が達成行動の動機づけに及ぼす影響を調べる現場実験研究を再度行う。仮説どおりの結果を得たいと考えているが、もし再度仮説が支持されないようであれば、この研究についての理論的検討をやり直す予定である。それ以外の点、および平成25年度以降については当初の計画通り研究を推進したい。
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Research Products
(5 results)