2011 Fiscal Year Annual Research Report
疫病蔓延・大事故発生などの危機事態における災害報道と人々のリスク認知
Project/Area Number |
23330195
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
釘原 直樹 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (60153269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 善太郎 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (20340367)
吉川 肇 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (70214830)
村上 幸史 神戸山手大学, 現代社会学部, 准教授 (00454778)
岡本 真一郎 愛知学院大学, 心身科学部, 教授 (80191956)
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Keywords | 社会問題 / 災害報道 / リスク |
Research Abstract |
本年度は第1に、ネガティブな情動を喚起する刺激(写真)の提示頻度の時系列的変化が頻度判断に及ぼす影響について分析した。写真はフロリダ大学作成のIAPSから採用した。写真の中には死体やひどい火傷のような衝撃的なものもあるが、その中で倫理基準に抵触しない程度の不快写真を2種類と中性的写真を2種類取り出して、連続提示した。その結果、中性写真の提示頻度が大きく不快写真の提示頻度が小さい条件では、不快写真の頻度判断は相対的に過大となることが明らかになった。頻度判断値は刺激の情動値により異なることが示された。第2に口蹄疫流行に関する責任帰属や非難の帰属の程度を、時期を変えて測定した。その結果、マスコミからの情報に接触する頻度が高いほど、様々な対象に対して、責任や非難の帰属をする程度が高いことが分かった。また、時間の経過とともに、国や当事者に対する帰属の程度は低下していたが、抽象的なシステムに対する帰属の変動は単純ではないことが分かった。第3に東日本大震災および福島第一原子力発電所事故後の報道を対象に、リスク・コミュニケーションの視点から、伝達の仕方に見られる問題点について資料を収集し、分析を行った。第4に東日本大震災発生直後に流行した「不謹慎」という言葉に着目して、ブログ記事の分析を行った。書き手自身が不謹慎と認識している行為について、カテゴリー分析を行った結果、他者の行為を「不謹慎」という言葉を用いて直接非難していたのは記事全体の9.4%であり、不謹慎という風潮を批判するものを合わせると、全体の17.1%を占めていた。第5にリスクの確率を表現するさまざまな言語表現に関して、その受け取られ方をインターネットを利用して調査した。分析の結果、環境態度が確率表現と関連すること、そしてその関連には性差があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は災害がネガティブな情動を喚起するような衝撃的な場合の攻撃対象の変遷過程について受け手が持つイメージと記憶について分析することを計画した。これに関しては実施することができた。それから事件発生後の責任帰属や非難の帰属についても調査を行うことができた。その他、リスク・コミュニケーションやリスク確率に関する調査も行った。ただし、まだ研究成果を刊行する段階までは至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も交付申請書に従って研究を推進する予定である。
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Research Products
(12 results)