2013 Fiscal Year Annual Research Report
発達性「読み」障害に関する臨床的、計算論的、脳機能研究
Project/Area Number |
23330201
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宇野 彰 筑波大学, 人間系, 教授 (10270688)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室橋 春光 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00182147)
山田 一夫 筑波大学, 人間系, 准教授 (30282312)
守口 善也 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所精神生理研究部, 室長 (40392477)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 国際情報交換 / 読み / ディスレクシア / 臨床 / 計算論 / 脳科学 |
Research Abstract |
1.臨床的研究に関して1)4歳児(年中児):すでに6歳児用として特異的言語障害児や発達性読み書き障害児の検出に有効であった検査を修正し、追跡率の高い地域での5年間追跡の第三年目(小学1年生)の調査を開始した。なお、下記の論文が雑誌に掲載された。猪俣朋恵、宇野彰、春原則子:年長児におけるひらがなの読み書きに影響する認知要因の検討. 音声言語医学, 54(2), 122-128, 2013. 2)中学1年生:小学5年生から調査を始め、中学1年生のデータを収集した。夏休み中にデータを収集したが、英語の読み書きに関しては、まだ調査ができるほどの授業がまだ進んでいないため、まだアルファベットの習得に関してのみ調べることができた段階である。来年の中学2年生での調査により、明確になると思われる。 2.生理心理学的研究に関して 単語に対して特異的に増強する初期視覚誘発電位,および文字列に対して特異的に増強するERP反応について,発達性読み書き障害(DD)との関連性を検討した。読み書きに困難のない成人参加者を対象として,読み速度と上記のERP反応の相関分析を行い,ERP反応とDD特性の関連性を検討した。その結果、読み速度と初期視覚誘発電位成分の振幅が対応しており、かなり初期の視覚処理段階で既に読みに関連する処理が開始されていることが示唆された。この結果は、音韻と正書法の相互作用不全が、文字単語認知過程のどのような段階から始まっているかについて示唆する重要な知見であると思われた。 3.脳科学的研究 fMRIを用いて漢字処理についての実験が終了し論文も作成済みである。しかし、まだジャーナルに受理されていない段階である。 4.動物モデル研究 microgyriを脳内に作成する実験方法は確立できた。しかし、正常ラットも視覚記憶実験で十分な成績を残さないという問題があり、解決すべき問題点と思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床的研究と脳科学的研究については順調にすすんでいる。一方、生理学的研究、計算論的研究、動物モデル研究においては研究遂行がやや遅れている。 原著論文を投稿しているが、まだ受理されていない論文が3編あるためである。査読回数としては、そろそろ終盤に差し掛かっていると思われるので、できるだけ受理されるよう努力したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までに行われている調査に関して、解析を進めたい。臨床的研究はおおむね順調に進んでいる。脳科学的研究についても収集したデータに関しての論文作成はできている。生理心理学的研究も実験が進んでいるので、さらに実験をすすめ結果を出したい。計算論的研究についてはその前提となる実証的研究の原著論文が受理されるよう、さらに努力する。動物モデル研究については、視力の高いラットを購入し視覚記憶実験をさらに検討する。
|
Research Products
(54 results)