2012 Fiscal Year Annual Research Report
児童のワーキングメモリプロフィールに応じた支援データベースと教育ネットワーク構築
Project/Area Number |
23330203
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中條 和光 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90197632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯澤 正通 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10253238)
森田 愛子 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20403909)
杉村 伸一郎 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (40235891)
齊藤 智 京都大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (70253242)
湯澤 美紀 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 准教授 (80335637)
前田 健一 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90101451)
宮谷 真人 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90200188)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ワーキングメモリ / 学習 / 教育 / 児童 |
Research Abstract |
本研究は「ワーキングメモリ」をキーワードに,1人ひとりの子どもの学習ニーズに合った先進的なカリキュラム開発と教育のシステム作りを目指している。本年度の目的は,小学校児童のワーキングメモリのアセスメントを行い,ワーキングメモリが相対的に小さい子どもの授業中の態度が学年とともにどのように変化するのかを明らかにし,そのような子どもに対する支援方略を考えることであった。昨年度,ワーキングメモリのアセスメントを行い,授業観察を行った児童について,本年度も引き続き授業観察を行った。すなわち,小学校三,四,五年児童のワーキングメモリ低群各3名,および中群各3名について,国語,算数,理科の授業で観察を行い,挙手,および授業参加について調べた。また,国語の授業でワーキングメモリ低群の参加を促す支援方略を実践し,その効果を検討した。その結果,以下のことが示唆された。1,ワーキングメモリ低群の授業態度について,中高学年における挙手の頻度は,中群とあまり違いがなくなるものの,授業の参加率については,中群と比較して,前年度同様,低い傾向が見られた。2,ワーキングメモリ低群の授業参加が教師の授業スタイルによって影響を受けることが示唆された。ワーキングメモリ低群の児童にとって,「見守り型」よりも,「介入型」の授業の方が一貫して参加しやすかった。介入型は,児童の発言の後,教師がその発言を言い換えたり,簡潔にまとめたりするといったリヴォイシングを頻繁に行う授業スタイルである。3,おおまかな文章全体の把握から部分への精緻化と,構成部分相互の比較を通した全体への統合化を順序行いながら,文章の状況モデルを構成するという文章理解のプロセスを,マトリックス(黒板)に表現し,可視化した授業は,ワーキングメモリ低群の授業態度を促した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小学校児童のワーキングメモリのアセスメントを行い,クラスでワーキングメモリの小さい子どもの授業場面での観察を縦断的に行うことで,行動特徴を明らかにできた。また,そのような児童の学習支援の方略についての示唆も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題として,ワーキングメモリのアセスメントを公立小学校や中学校のクラスで行い,クラスでワーキングメモリの小さい児童・生徒を同定し,その児童・生徒に注目した学習支援方略を実施し,その効果を検討することである。
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Research Products
(12 results)