Research Abstract |
23年度の計画に挙げていた(1)海外の精神分析的心理療法家のトレーニング機関での聞き取り調査および参与観察,(2)海外でトレーニングを受けた日本人への聞き取り調査,(3)トレーニングに関連するデータベースの作成をおこなった。 (1)に関しては,英国(タビストック研究所),ドイツ(フランクフルト精神分析研究所,ジグムント・フロイト研究所),フランス(精神分析的相談・治療センター,パリ第8大学),米国(ニューヨーク精神分析研究所)において,研究代表者・分担者が,聞き取り調査と1週間~1ヶ月の参与観察をおこなった。そこでは,受理面接カンファレンス,ケースカンファレンス,スーパービジョンをはじめとする,実際のトレーニング場面に同席するとともに,トレーニングの提供者およびトレーニーに対する面接調査をおこなった。(2)に関しては,英国,米国,ドイツでの訓練修了者,訓練生に関する聞き取り調査をおこない,(1)に関する情報の補完および日本におけるトレーニングシステムの問題点,改善が必要な点に関する分析の視点を得ることができた。 本研究代表者・分担者が収集した上記の諸点に関する情報を持ち寄り,日本のトレーニングシステムの改善点に関する討議,トレーニングに関するデータベース作成のための項目の生成をおこなった。さらには,教育学研究科外国人客員教授として滞在し,訓練生への指導に関わった精神力動的心理療法家から,日本のトレーニングに関して,半年にわたるフィードバックを受けた。 トレーニングのおかれた社会・文化的文脈に関する研究としては,現在進展しつつある中国での精神分析家トレーニングの実態に関する情報収集と比較し,日本固有の文脈に関して明らかにする作業に着手した。また,各国の精神力動的心理療法家トレーニングの発展史,および典拠となるテキスト等に関する調査をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度計画に挙げていた海外調査に関しては,予想以上の成果を挙げることができた。またそこで得たつながりをもとに,中国等の情報を得ることができ,研究のターゲットが広がった。データベースの作成においては,各国でのトレーニングが必ずしも一律な対応関係にあるわけではないため,項目の作成がやや遅れ気味であるが,総じて,ほぼ計画どおりに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは調査データのデータベース化の充実が急務である。この点は,適切な人材の雇用をおこなうことで進めたい。また,平成24年度の推進に関しては,海外の研究協力者の招聘を,同時期に一同に会するようにし,集中的な討議をおこなうこととする。このことで,分散しがちな多国にわたる比較研究の集約をめざす。
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