2012 Fiscal Year Annual Research Report
学校適正規模と適正配置に関する教育政治経済学的研究
Project/Area Number |
23330223
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
天笠 茂 千葉大学, 教育学部, 教授 (80151116)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元兼 正浩 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (10263998)
加藤 崇英 茨城大学, 教育学部, 准教授 (30344782)
平井 貴美代 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50325396)
北神 正行 国士舘大学, 体育学部, 教授 (80195247)
貞廣 斎子 千葉大学, 教育学部, 准教授 (80361400)
水本 徳明 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 准教授 (90239260)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 学校適正規模 / 学校適正配置 / 学校経営 / アイディアの政治 / 教育福祉(エデュケア) |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、学校再配置に関わる複数事例の追加調査及び追跡調査を行い、事例調査の精緻化及びデータの蓄積を積極的に行った。更に、それらの事例を、構成主義としての「アイディアの政治」の枠組みで整理・分析し、以下の知見を追加及び補強するに至った。 第一に、各自治体は、何らかの「適正規模・配置」の基準や許容できる学校規模等の定義づけを行っているが,それらの基準については,教育の視点からみた正当性が必ずしも強固に存在するとはいえなかった。むしろ,各自治体における適正規模・配置の基準づくりは,あくまでも再配置の政策立案・実施を行うためのきっかけ,大義名分に過ぎず,いうなれば学校再配置の通過儀礼的特性を持っているといえる。 第二に,各自治体が各地域の現状分析・教育的意義などを分析した後に自己調達(定義)した適正規模・配置の基準も,極小規模自治体を例外として,12-18 学級という全国の基準から大きく逸脱することはなかった。その結果,学校再配置のプロセスとダイナミクスにバリエーションはあるものの,再配置の結果については,多様というよりも「アイディア」の不足・貧困,ワンパタ-ン化している状況が観察されている。 第三に、諸外国の事例からは、衰退する農漁村地域における地域及び教育振興政策として、教育と福祉を一体的に捉える「教育福祉(エデュケア)」という視点が見出された。同視点は、例えば韓国においては、「田園学校」という小規模校パワーアップ政策として実行されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規事例調査及び既調査事例の追加調査を積極的に展開し、調査の調整がなかなか進まなかった北海道と沖縄の事例の調査も実現した。両事例は、今後の我が国の学校再配置計画を考える上で必須の調査地域であり、それらの調査によって、本研究の知見にも有用なデータを提供できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究課題の最終年度ということで、以下の3点を方策として挙げる。 まず第一に、将来の政策オプションの提示に向けた、新たな研究展開として、人口動態と関連させた各対象自治体のシミュレーション分析を視野に入れる。これは、今後の更なる研究課題の先取り、提示という側面を持つ。 第二に、24年度の海外調査から新たな視点が得られたことを鑑み、海外調査の追加を行い、更に教育福祉の視点から学校適正配置の検討を行う。 第三に、本研究の成果を出版物としてまとめることを目指し、執筆作業を行う。現状では、既に構成案を固め、出版社と交渉を始めているところである。
|
Research Products
(5 results)