2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330247
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kokugakuin University Hokkaido Junior College |
Principal Investigator |
野崎 剛毅 國學院大學北海道短期大学部, 幼児・児童教育学科, 准教授 (50412911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小内 透 北海道大学, 大学院・教育学研究院, 教授 (80177253)
小内 純子 札幌学院大学, 社会情報学部, 教授 (80202000)
新藤 慶 群馬大学, 教育学部, 准教授 (80455047)
新藤 こずえ 高知県立大学, 社会福祉学部, 助教 (90433391)
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Keywords | 先住民族 / アイヌ民族 / サーミ / 教育保障 |
Research Abstract |
本研究の目的は、わが国の先住民族であるアイヌ民族の教育保障に関わる問題を、国内調査と先住民族の権利保障について先進的な取り組みをおこなっているスウェーデンでおこなう調査との比較から考察し課題を明らかにすることである。この目的の達成のため、平成23年度は(1)「先住民族の教育保障に関するマクロ的研究」として先住民族に関する資料収集と分析、(2)「アイヌ集住地域を対象とした実証的研究」として北海道アイヌ協会の機関調査を、(3)「先住民政策の先進地を対象とした実証的研究」としてスウェーデン調査を計画した。 (1)については、後述のスウェーデン調査で各種資料を収集したほか、大阪府の国立民族学博物館と千葉県の国立歴史民俗博物館において情報収集活動をおこなった。 (2)については、昨年度は実施しなかった。これは、(3)のスウェーデン調査が当初の計画以上の成果をもたらしたため、その整理に時間をかけたためである。 (3)については、8月にスウェーデン調査を行った。北部のサーミ居住地であるキルナ市とヨックモック市において、サーミ議会調査、サーミ学校調査、サーミ教育局調査を行い、資料を収集した。これにより、我が国にはほとんど紹介されていなかったサーミ学校の制度と実態が明らかになった。また、ストックホルム市において教育省調査を行い、スウェーデンの教育制度と、サーミ教育の位置づけについて情報を得た。 平成23年度は、研究計画全体のなかで、情報を収集し、平成24年度、25年度に計画している本調査のための事前準備と位置づけられる。国内機関調査はできなかったものの、スウェーデン調査は当初の計画になかった機関への調査も実現し、我が国では入手の難しい情報を多くえることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画のうち、北海道アイヌ協会への機関調査を実施しなかったが、これは全体の計画に大きな遅れをもたらすものではない。また、スウェーデン調査が当初の予定よりも充実したものとなり、平成24年度の調査への布石ともなった。これらより、当初計画とは異なる形ではあるが、全体としては順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画との大きな変更点として、平成24年に予定していたアイヌ集住地調査をとりやめ、平成25年におこなうこととした。これは、平成24年におこなうスウェーデン調査に予算をさき、より充実したものとするためである。平成23年のスウェーデン調査において、予定を上回る聞き取りが行えたことにより、平成24年度に当初計画よりも多くの調査が行えることになった。そこで、調査のための滞在期間を伸ばし、また通訳を増やすことにより、我が国ではあまり紹介されていないサーミの教育に関し、豊富なデータを入手すべく計画を変更した。本年度とりやめることにしたアイヌ調査については、平成26年度におこなう予定である。
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