2011 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害を合併する聴覚障害児の鑑別と指導法の開発に関する研究
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23330275
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
濱田 豊彦 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80313279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長南 浩人 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 准教授 (70364130)
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Keywords | 聴覚障害 / 発達障害 / 鑑別 / SST / 音韻 / 状況認知 / 全国調査 / 介入研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は、発達障害様の困難のある聴覚障害児を、聴覚障害に起因する二次障害事例と発達障害に起因する事例に鑑別し、各々に応じた適切な指導方法を開発することにある。平成23年度の実績を研究計画に合わせて下記に記した。 1.聴覚障害が発達障害に及ぼす影響の検討 (1)自閉症圏にある発達障害児で聴覚障害の有無で2群化して、ソーシャルスキルトレーニング時の比較分析を実施した。その結果、状況把握や事物へのこだわりなどには差異がなかったが、聴障群の方が指導のための手続き(手話等のコミュニケーション手段だけでなく視覚的併用を円滑に進めるための配慮)を多く要し、指導時間も有意に長かった。(2)談話力の比較には「質問応答関係検査」を利用し分析した。その結果、聴障児群は結束性(文のつながり)は良いものの整合性(テーマ性)で聴児より低くなる傾向が見られた。 2.聴覚障害児版「発達障害チェックリスト」の検討 文部科学省(2002)のチェックシートには学習や行動の項目はあるものの、不器用や見当識などの項目が欠けていたためPRSの質問項目を加味した試案を作成した。当初年度の早い時期に実施する予定であったが、東日本大震災の影響で全国の学校への実施が遅れ現在結果の分析中である。 3.支援プログラム・支援方法の開発のための介入研究 11人の発達障害を合併する聴覚障害児に対して、約20回の介入指導を実施した。発達障害を合併することで生じる言語面の困難のメカニズムには大きく「音韻処理能力の低下」と「状況認知の低下」に分けることができると仮説を立て、体系的な支援方法・教材開発を継続的に行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発達障害に聴覚障害が及ぼす影響については、明確な結果が得られた。また、介入研究についても順調に進展できている。東日本大震災の影響でチェックリストの全国実施がやや予定より遅れたが年度内に終えることができており大きな支障はないと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
全国アンケートの結果をふまえ、全国の聾学校小学部に在籍している児童の約5%にあたる、100名(関東の聾学校3校を予定しており打診済み)を対象に悉皆調査を実施し鑑別のためのチェックリストの検討を行う。 また、人工内耳の装用児が研究計画作成時に想定したより増加しており、人工内耳装用児の学齢児が多い海外の情報も加味しながら、鑑別方法や介入方法について検討を行っていく予定である。
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