2012 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害を合併する聴覚障害児の鑑別と指導法の開発に関する研究
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23330275
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
濱田 豊彦 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80313279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長南 浩人 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 准教授 (70364130)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 聴覚障害 / 発達障害 / 合併 / 視線分析 / 教育システム / 介入研究 / 認知心理学 |
Research Abstract |
研究テーマの核である「聴覚障害が発達障害に及ぼす影響の検討」に関しては大きく下記の2点を実施した。 1)発達障害のある聴覚障害児群と発達障害単一障害群を比較し、対人関係や状況認知における視線運動の分析を実施している。その中で平成24年度では聴覚障害単一障害群およひ定型発達児群の状況認知における「視線検索」「相貌知覚」「状況絵の把握」における標準値を得ることができた。また、発達障害児や発達障害のある聴覚障害児の視線分析を事例的に検討を行った。これらの成果は現在論文執筆中である。 2)発達障害を合併する聴覚障害児への支援場面と発達障害単一児への支援場面を分析し、聴覚障害が加わることで支援方法が多様化しまた指導そのものの時間も有意に長くなることが示唆された。特に、指導時間の長さには対象児の語彙力が影響していることも推察された。これらの成果は日本特殊教育学会等で報告した。 発達障害のある聴覚障害児の検出に関しては、昨年度末に実施した「全国の聾学校や難聴学級等を利用している聴覚障害児のチェックリスト」の結果を詳細に分析し、教員の判断とチェックリストの換算点から得られる値にずれがある事例について南関東の複数の聾学校で一件ごとのごと追跡調査を行った。当初不器用やオリエンテーションなどの項目不足が原因と想定したが、実際には軽度知的障害の有無や環境面の評価が影響していることがわかった。この点についても現在論文執筆中である。彼らをコミュニケーション手段によって群化して、各群における困難状況の差異について検討した。これらの成果はコミュニケーション障害学会、日本特殊教育学会等で発表した。 発達障害を合併する聴覚障害の教育支援システムの検討のためスウェーデンの聴覚障害児教育の現状を視察し、研究紀要に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国の実態調査や検出精度を上げるための、事例に立ち返っての聞き取り調査も順調に進んでいる。 また、聴覚障害が発達障害に及ぼす影響に関する視線分析においても、測定方法の検討や基本となる数値の確定はほぼ終わっている。 事例に対する継続的指導も今年度も問題なく実施できる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
発達障害を合併する聴覚障害児の検出のためのチェックリストの改訂版の項目として「不器用」や「オリエンテーション」に関する項目を加える方向を想定していたが、ここまでの分析からは、チェックリストを実施する前段として、動作性知能指数の検出や環境面の評価を加えることが重要のようである。この観点に立って検出方法の改善を検討する。 視線分析に関しては、発達障害単一児群のデータを今年度の早期に測定する予定である。このことにより、定型発達群、聴覚障害児群、発達障害児群、発達障害を合併する聴覚障害児群の4群の比較が可能になり、これまでにない新しい知見が提供できるのではないかと考えている。 発達障害を合併する聴覚障害児へのスウェーデンにおける教育支援の現状を視察し、共同研究の関係も作ることができたので、今年度スウェーデンでもチェックリストを実施し国際比較も付加的にやろうと考えている。
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Research Products
(9 results)