2012 Fiscal Year Annual Research Report
子どものコミュニケーション・チェックリスト日本版の標準化と日英語用障害などの比較
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23330276
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大井 学 金沢大学, 学校教育系, 教授 (70116911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 博 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00248270)
権藤 桂子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (90299967)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | コミュニケーション / チェックリスト / 語用論 |
Research Abstract |
北海道、石川県、群馬県、神奈川県、大阪府、佐賀県の6府県に在住する、3歳から6歳の定型発達の就学前幼児1285名についてCCC-2日本語版のデータを得た。 CCC-2の10領域すべてにおいて、男子が女子よりも素点平均値が高かった(コミュニケーション能力の評価が、より低い)。アルファ係数はどの領域でも、定型発達小中学生(23年度研究実績)より高く、平均0.68(sd=.07)であった。正負の評価不整合回答者は小中学生の17%を上回り28%であった。いずれも連合王国での1.6%と大きく異なる。 小中学生と幼児の違いと共通性について、データのより詳細な吟味によって、その背景を明らかにし、CCC-2日本語版の実用化のための手がかりを得る必要がある。 これとは別に、保育者と養育者とを評定の仕方について比較したところ、一貫性は有意に養育者が高く、「音声」「定型化されたことば」「興味関心」の3つを除く7下位尺度で、養育者が保育者より高い素点平均(子どものコミュニケーションの評価が低い)を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が不測の病気となったため、24年度9月に実施予定であったCCC-2原著者(Bishop氏、オクスフォード大学)との検討を行うことができなくなったため。あわせて、日本のサンプル幼児と小中学生合計約27000名の中に広く見られた、男女差、正負評価不整合の割合が連合王国の10倍から20倍近い点の背景を明らかにするための、データのより深く詳しい吟味ができなかった。 25年度は上記の懸案を解決できた。男女差は軽微であり、27000というスケールイフェクトによるものとみなせた。正負の項目不整合は日本人評価者のメンタリティ(子供をわるく評価できない)によるものと思われたので、整合性基準を修正した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)日本のサンプル幼児と小中学生合計約27000名の中に広く見られた、連合王国にはない男女差、正負評価不整合の割合が連合王国の10倍から20倍近い点の背景を明らかにするため、データのより深く詳しい吟味を行う。 2)連合王国に比べて、小中学生でアルファ係数が低い問題を、統計的に吟味し、検査としての妥当な構成の仕方を考案する。 3)以上について、連合王国の原著者と協議検討を行う。
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