2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23340001
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺杣 友秀 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (50192654)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 圭司 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30229546)
志甫 淳 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (30292204)
木村 健一郎 筑波大学, 数理物質科学研究科(系), 講師 (50292496)
花村 昌樹 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60189587)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 算術幾何 / モチーフ / 周期積分 |
Research Abstract |
1. 高次チャウ群からコホモロジーへのサイクル写像の像の次元が大きい曲面の構成をした。高次チャウ群はチャウ群の右完全性を補完するために考案されたものであるが、そのの元を実際に構成することは難しい。これを構成するのために多くの直線を含む曲面を取り上げた。さらにそれらの元が十分に独立であることを調べるために、エタールコホモロジーにおけるサイクル類を考えた。そこから由来するコホモロジーの拡大を考えて、その群のコホモロジークラスを計算した。実際の計算はモノドロミー・ウエイト・フィルトレーションをもちいて局所的な計算に帰着し、さらにそれを、2重対数関数の解析接続公式に帰着した。 2. 既約でないエクスポネントをもつ超幾何方程式に関連する曲面のコホモロジーにはいる混合ホッジ構造の研究をした。これまで、周期写像は簡約型代数群に付随する対称領域をターゲットとしていたが、このようなタイプの周期写像はそれらとベクトル空間との積がターゲットとなる。さらにその逆写像をテータ関数を用いて記述した。この曲面は直線の配置で分岐する被覆で得られるが、配置を回復するには拡大類に関する周期を用いなくてはならないところが、これまでの周期写像とは異なるところである。これを正確に定式化するためにホッジ構造の拡大の理論が不可欠となった。 3. 代数多様体のベクトル・バンドルに付随するグラスマン多様体を相対的なプリュッカー埋め込みで埋め込んだときの次数の明示公式をえた。これは母関数の形で書くと、セルバーグ積分に関するカデルの公式が使え美しい式になる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 曲面上のチャウ群の構成についてはこれまでミュラースタック、コリノ、斉藤秀司らが構成したものなどがあったが実際に高い階数のものが構成された例が少なくかった。さらに構成された元たちの独立性を示す際に用いられたサイクルマップも、位相的にえられた元の独立性を示すために利用できて、その有用性が確認できた。モノドロミーの計算に多重対数関数を用いていることにより議論が簡明になったところが、今回の研究の進展が用意になったところである。 2. また既約は周期写像の構成はこれまでホッジ構造の拡大まで考えて周期写像をつくり、さらに逆周期写像までこめて保型関数などを用いて完全に記述する例がなかったので、目的とする研究につてい、まずまずのことが達成されたといえる。しかしながら、要所要所で用いられた技法は既約なモノドロミーとくにU(1,1)の離散群に関係している、射影直線の4点で分岐する分岐被覆の周期写像に関するこれまで、この研究課題で用いられた技法が効率よく使われたところで、これまでの研究が役にたった。 3. ベクトルバンドルに付随する幾何的に得られる代数的サイクルの計算で有名なものとしてよく調べられているものにシューベルト解析がある。得られた公式はプリュッカー埋め込みがその幾何学の範疇であるのに次数に関する結果が知られていなかった。セルバーグ積分との意外な関連によりさらに物理的な解釈が可能であることが示唆される。
|
Strategy for Future Research Activity |
1. 来年度は曲面で行われたことを高次元多様体について同様の構成ができないか試みる。高次元化に際しては曲面族の時に現れるA1型特異点がさらに複雑なものとして現れることがわかっている。この特異点の解消とそこに引き起こされるモノドロミーウエイトフィルとレーションについて局所的な解析をしなくてはならない。モノドロミーウエイトスペクトル系列は高次元理論は同様であるので、高次元の場合は特異点解消ができれば、高次元の場合の結果も期待される。 2. 楕円モチーフと多重ゼータ値に入る深さフィルトレーションの関係に関して、楕円モチーフの相対完備化を計算するときに用いられたバースペクトル系列が有効に使われると予想される。これらの間の関係をはっきりされることは喫緊の課題である。 3. ゴンチャロフ、ベイィンソンらによって、青本多重対数関数と混合テイトモチーフの淡中代数群の関数環の間の予想が述べられている。現在アイレンベルグマクレーン構成のコホモロジーと青本多重対数関数の関係がすこしづつわかっているので、この二つを関係させることが可能である。最大の目標はすべての混合テイトモチーフの周期が青本対数関数であらわされるかという問題である。これまでバー複体とモチーフの圏の関係さらに高次チャウ群とK群の関係がよくわかってきているので、ゴンチャロフも提唱しているグラスマン多様体を通じてK群と青本多重対数の関係を明らかすることで、上の目的のヒントが得られると予想している。
|
Research Products
(16 results)