2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23340005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 啓 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (00201666)
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Keywords | 手鋸箙多様体 / Kazhdan-Lusztig多項式 / 余積 / Yangian代数 |
Research Abstract |
物理学者の Alday-Gaiotto-立川によって発見されたゲージ理論とW代数との対応を、数学的に厳密な立場から「インスタントンの枠付きモジュライ空間の上で、同変コホモロジー群自体を考えると、それがW 代数の表現の構造を持ち、様々なコホモロジー類が、W 代数の頂点作用素などを用いて書き下される」と理解し、これに証明することを目指すために、基本的な研究に着手した。 まず、上のAG-立川対応の簡単な場合と考えられる、手鋸箙多様体のホモロジー群にshifted Yangian代数の表現が構成される、というBravermanらの研究を進めることを考えた。そして、shifted Yangian代数の既約表現の次元を、手鋸箙多様体のトーラス固定点の交叉ホモロジー群を用いて表す公式を証明した。 さらに、そのトーラス固定点に関して、以前に研究していた次数付き箙多様体と同一視することによって、交叉ホモロジー群を計算し、Kazhdan-Lusztig多項式と結びつけた。上の既約表現の次元公式と合わせると、この結果は、Brundan-Kleshchevによる予想の解決である。 また、Nicolas Guay氏との共同研究で、アファイン型のYangian代数 Y が、余積 Δ: Y→YxYを持つことを証明した。ここで、YxYは、Yとそれ自身とのテンソル積の適当な完備化である。有限型のYangian 代数は、(完備化を取らない通常の意味で)余積を持つことが知られており、その拡張といえるが、定義はだいぶ異なる。(論文は現在執筆中。) この結果は、純粋に代数的なものであるが、余積の定義は、Maulik-Okounkovによる幾何学的な余積の導入に示唆されたものである。そのために、幾何学的な余積の構造と、代数的な構造の間の関係について、事前に考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AG-立川対応の数学的に厳密な証明に向けて、着実に成果が上がっていると考えられる。 この対応は、W代数とインスタントンのモジュライ空間の間の関係を示唆していてるが、今年度に得た結果は、本来のものがアファイン型であるのに対し、有限型と考えられる。shifted Yangian は、有限型のW代数でA型に対応するものであり、一方、幾何学的な対応物である手鋸箙多様体は、射影直線上のベクトル束の旗のモジュライ空間である。これは次元降下でインスタントンから得ることができる。 また、有限型とアファイン型の一番の大きな違いは、有限型の場合には余積が、Yangian代数に、代数的に定義されていたことであった。この違いを埋めるために、一方で、アファイン型Yangian代数の余積の代数的な定義を考察し、これも成功することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに、インスタントンのモジュライ空間のコホモロジー群の構造について、考察を続けていく。具体的には、構造群がA型とは限らないときに、W代数の表現の構造を与えること、底空間がR^4とは限らず、ALE空間のときにどうなるか、幾何学的な考察と、表現論からの考察の両方を並行して進めていく。特に、後者については、過去に行った量子トロイダル代数、もしくはアファイン型Yangian代数の表現論との関係について明らかにするように考察を行なう。
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