2011 Fiscal Year Annual Research Report
マッカイ対応とホモロジカルミラー対称に関わる導来圏の研究
Project/Area Number |
23340011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
上原 北斗 首都大学東京, 大学院・理学研究科, 准教授 (80378546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 幸伸 東京大学, 准教授 (20503882)
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Keywords | トーリック スタック / 導来圏 |
Research Abstract |
連接層の導来圏は代数多様体や代数的スタックの重要な不変量として最近注目を浴びてきている。代数多様体の連接層の導来圏のある種のよい生成元をfull strong exceptional collection(f.s.e.c.)という。f.s.e.c.が存在するとき、連接層の導来圏ある種の環の加群上の導来圏と同値になることがいえ、連接層の導来圏の研究に多元環の表現論を応用することができ、重要視されている。与えられた代数多様体に対しf.s.e.c.はいつも存在するわけではないが、例えばトーリック多様体の場合はそれにかなり近いものが存在することが川又氏によって示されている。 Bondalはトーリック多様体の構造層のフロベニウス順像は導来圏を生成することを予想した。一方フロベニウス順像は直線束に分裂することが知られており、これらを用いるとフロベニウス順像が高次の自己準同型を持たなければ、それらからf.s.e.c.を見つけることができる。私は大川領氏との共同研究で、トーリック多様体を一般化した2次元のトーリックDeligne-Mumford stackの場合にBondalの予想を解き、その応用として、いくつかの2次元トーリックDeligne-Muford stackの場合にf.s.e.cの存在を証明した。証明の仮定で一般次元で成り立つ主張をいくつか証明した。例えば、toric Deligne-Mumford stackとtoric Deligne-Mumford orbifoldの連接層の関係を与えたり、toric Deligne-Mumford orbifold上でBondalの予想が正しければ、toric Deligne-Mumford stack上でも正しいことを証明した。これらの結果は今後役に立つものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記した、楕円曲面上の導来圏の研究は推し進めることができなかったが、その代わりtoric Deligne-Muford stackでのBondalの予想の解決はtoric varietyの場合にはるかに難しかったがそれを成し得たため。
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Strategy for Future Research Activity |
大川領氏との共同研究で,トーリック多様体の導来圏の良い生成元の存在が言えた。得られた生成元はある意味標準的なので,様々な応用を持つと思われる.例えばある種の双有理写像で結ばれる2つのトーリック多様体に対し,それぞれの構造層のFrobenius順像の自己準同型環として得られる非可換同士を比較して,何が言えるか考えたい。さらに研究の過程でtoric stackとtoric orbifoldの連接層の関係がはっきりしたが,toricでない場合についても考えたい。
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