2013 Fiscal Year Annual Research Report
マッカイ対応とホモロジカルミラー対称性に関わる導来圏の研究
Project/Area Number |
23340011
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
上原 北斗 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (80378546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 幸伸 東京大学, 国際高等研究所Kavli数物連携宇宙機構, 准教授 (20503882)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 連接層の導来圏 / マッカイ対応 |
Research Abstract |
代数多様体上の連接層の導来圏は代数多様体の新しい不変量として、1990年代半ばから少しづつ注目を集め、2000年以降代数幾何学における最もホットな話題の1つとなっている。連接層の導来圏の研究は、ホモロジカルミラー対称性やマッカイ対応を通し、物理学やシンプレクティック幾何学、そして多元環や群の表現論と結びつき様々な研究が行われてきた。 私は代数多様体の連接層の導来圏がいつ良い生成元を持つのか、またそれを持ったときに、導来圏や代数多様体自身がどのような性質を持つかをここ数年調べてきた。特に私が注目したのは-2曲線を持つHirzebruch曲面である。一般にDel Pezzo曲面の例外生成系はよく調べられているが、-2曲線を持つHirzebruch曲面を代表とする、weak Del Pezzo曲面はtwist関手という極めて非自明な自己同値を持ち、それがゆえに導来圏の対称性が高く、それを調べるのは非常に厄介である。私は阪大の大川新之助氏との共同研究で、-2曲線を持つHirzebruch曲面上の例外層を完全に分類し、それを用いて、K群のクラスが同じであるような、2つの例外層がどのような関係にあるのかを記述した。さらに、与えられた例外層と同じK群のクラスを定める例外層は無限に存在することを示した。Del Pezzo曲面の場合はK群のクラスが例外層を完全に決定するのに対し、weak Del Pezzo曲面の場合は上記のtwist関手の存在によって対称性が高くなったという事実が典型的に現れていることが見て取れる。今後はこれらの結果を用いて、全ての例外対象の分類を行っていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、例外生成系の存在と代数多様体の有理性の関係を調べていたが、これは長く期待されているが未解決である結果であって、さすがに難しかった。また-2曲線を持つHirzebruch曲面上の例外層対象の分類まで行いたかったが、そこまでは行き着いていない。それは問題の難しさによるところが大きい。例外層のtwist関手によるtwistの計算などを膨大にしてみて、試行錯誤によって結果を得たが予想以上に時間がかかってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
上で述べたように、-2曲線を持つHirzebruch曲面上の例外層の分類をしたときに得た経験と知識を用いて、例外対象の分類を行いたい。さらには、-2曲線を持つHirzebruch曲面上の導来圏のBridgeland安定性空間の研究などもしたい。
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