2014 Fiscal Year Annual Research Report
マッカイ対応とホモロジカルミラー対称性に関わる導来圏の研究
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23340011
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
上原 北斗 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (80378546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 幸伸 東京大学, 国際高等研究所Kavli数物連携宇宙機構, 准教授 (20503882)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 連接層の導来圏 / Bridgelandの安定性条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
代数多様体の連接層の導来圏は、ミラー対称性やマッカイ対応などにより、シンプレクティック幾何、超弦理論、さらには多元環の表現論などの研究に結びつく、広範な応用を持った研究対象である。私の研究の目標は連接層の導来圏の研究を通し、他分野との関わりを明らかにしてしていくことである。 (ホモロジカル)ミラー対称性は現在、様々な多様体について論じられているが、元来は3次元カラビ・ヤウ多様体について言及されていた。その意味では3次元カラビ・ヤウ多様体の連接層の導来圏の研究が一番興味深い。特にその導来圏の自己同値群は、導来圏の自然な不変量となり興味深い研究対象である。一方で、連接層の導来圏は標準束が自明な場合ほど対称性が高く、非自明な自己同値を持ちやすく、より複雑となることが知られている。その結果3次元カラビ・ヤウ多様体の連接層の導来圏の自己同値群の研究は難しくなり、その2次元版にあたるK3曲面の場合でも完全に決定するまでには至っていない。 私は相対的に標準束が自明である曲面、すなわち極小惰円曲面の場合について、特異ファイバーの型と、小平次元に関するある種の仮定のもと、自己同値群の構造を明らかにした。この種の結果は、それ自体興味深い対象であるが、Bridgelandの安定性条件の空間の研究などにも役に立つと思われ、それについて、今後研究を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、極小惰円曲面の連接層の導来圏の自己同値群を、特異ファイバーの型と小平次元に関するある種の自然な条件を課した下で、完全に決定できた。当初はある種の非常に特殊な(例えば惰円曲線上の線識曲面が惰円曲面の構造も持つ)場合について、自己同値群を決定できれば良いと期待していたのだが、それらを含むはるかに一般的なクラスに関して、自己同値群を決定できたのは、非常に良かった。特異ファイバーを含むことで、自己同値群ははるかに複雑になるが、その部分は多くの計算を行うことで、決定することができ、満足している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、連接層の導来圏の自己同値群は、代数多様体の、もしくはその連接層の導来圏の自然な不変量である。与えられた三角圏のBridgelandの安定性条件の空間には三角圏の自己同値群が自然に作用する。この作用を考察することが、安定性条件の空間の研究にしばしば役に立つ。 私が得た、極小惰円曲面の導来圏の自己同値群の記述を使って、Bridgelandの安定性条件の空間を調べたい。
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Research Products
(6 results)