2013 Fiscal Year Annual Research Report
反復積分と配置空間の幾何構造および量子位相不変量への応用
Project/Area Number |
23340014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 俊丈 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (80144111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺杣 友秀 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (50192654)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 組みひも群 / 共形場理論 / 反復積分 / 配置空間 / KZ方程式 / 写像類群 / 量子群 / 超幾何関数 |
Research Abstract |
Riemann球面上の,Wess-Zumino-Witten模型から構成される共形場理論においては,共形ブロック束はRiemann球面上の点の配置空間上のベクトル束となり,KZ方程式とよばれる平坦接続が入る.この接続のホロノミーとして,組みひも群の線形表現が得られる.一方,組みひも群のホモロジー表現は,点付き円板の写像類群のその配置空間のアーベル被覆のホモロジー群への作用として定義され,Krammer, Bigelowらによって研究された.本研究では,KZ方程式の解の超幾何関数による積分表示を用いて,組みひも群のホモロジー表現とKZ方程式のモノドロミー表現との関連を明らかにした.具体的には,パラメータが一般の場合に,Verma加群のテンソル積の零ベクトル空間への組みひも群の作用がホモロジー表現と同値であることを証明した.さらに,配置空間の局所系係数のホモロジー群への量子群の作用を調べ,組みひも群のホモロジー表現の量子対称性を記述した.共形場理論に現れるのは,パラメータが特殊な,無限遠においてレゾナントである場合であり,共形ブロックへの組みひも群の表現と量子群の1のベキ根における表現の対称性をもつ.この場合に,積分サイクルの構造を詳しく調べて,KZ方程式が,代数多様体の周期積分の満たす微分方程式として表されること,つまり,Gauss-Manin接続としての表示されることを示した.共形場理論において,Riemann面のモジュライ空間上のベクトル束の射影平坦接続のモノドロミー表現として,写像類群の共形ブロックへの作用が定まる.L. Funarとの共同研究において,このような表現による写像類群の像の構造を研究した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組みひも群のモノドロミー表現において,KZ方程式のホロノミーとして与えられる表現と,配置空間のアーベル被覆のホモロジー群への作用として定まるホモロジー表現の間の関係を明確にすることが当初研究目的の一つであったが,多変数超幾何積分を用いることにより,パラメーターが一般の場合には,これらの表現が同値であることを証明することができた.また,共形場理論の現れる,特殊なパラメーターの場合についても,積分サイクルを幾何学的に記述することを行ない,共形ブロックの空間の完全な積分表示を与え,共形場理論においては,KZ方程式は代数多様体の周期の満たす微分方程式とみなせることを示す事ができた.また,写像類群の量子表現の像と核の構造の研究についても,当初研究目的を達成することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
写像類群の量子表現の研究により,写像類群の指数有限の部分群を組織的に構成する方法を開発した.この研究をさらにすすめて,写像類群の指数有限部分群のアーベル化を研究し,写像類群のKazhdan property (T)についての,Ivanovの問題などに応用していきたい.さらに,組みひも群の表現のこれまでの結果を,高次の圏に拡張すること試み,2-モノドロミーの理論を構築し,ホモロジー表現の理論の圏化についての研究をすすめる計画である.また,本研究において,A. Pajitnovとの共同研究において新たに得られた,超平面配置の補集合のNovikovホモロジー理論についての研究を発展させ,特に,パラメーターがレゾナントになる場合について,共形場理論との関連を研究する計画である.
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