2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23340018
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
前田 吉昭 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40101076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森吉 仁志 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (00239708)
佐古 彰史 釧路工業高等専門学校, 一般教科, 准教授 (00424200)
大森 英樹 東京理科大学, 理工学部, 教授 (20087018)
栗原 将人 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40211221)
池田 薫 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (40232178)
勝良 健史 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (50513298)
亀谷 幸生 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70253581)
井関 裕靖 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90244409)
坂内 健一 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (90343201)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 幾何学 / シンプレクティック幾何学 / 非可換幾何学 / 変形量子化問題 / 超弦理論 / 非可換ゲージ理論 / 国際研究者交流 / 多国籍 |
Research Abstract |
幾何学研究分野の新しい方向の一つは、素粒子物理学をバックグランドにした「幾何学の量子化」の問題である。実際、共形場・位相場理論、カテゴリー論、非可換ゲージ理論、超弦理論等、幾何学および物理学においてその兆候が表れていると考えられるが、統一した考え方や方法論が確立しているわけではない。本研究は、この新しい研究の流れに向かって、量子微分幾何学の構築とその展開を行い、幾何学および理論物理への貢献を目指すものである。本研究の特徴は、基軸となる研究である変形量子化問題と非可換幾何学を推進し、これによる微分幾何学の非可換化(量子化)を確立させ、それを発展させるという全く新しい立場からの研究を行うことである。特に、Non-formal deformation quantization の手法を用いた、非可換幾何学への応用として、複素シンプレクティック多様体の収束変形量子化問題と非可換多様体の構成、Non-formal UDFによる葉層構造の応用、K-理論と指数定理の非可換幾何学的アプローチ、代数的ホモロジー論や圏論による高次構造(higher structure)、ディラック構造や一般幾何学(generalized geometry)の量子化問題とその応用、変形量子化問題による数論への応用、T-対称性、量子場の理論、非結合多様体の具体的構成について、統合的な理解を行う。さらに、それを数論、代数解析、複素シンプレクティック幾何学・複素ポアソン幾何学の量子化、カテゴリー論・代数位相幾何学等の数学研究分野および場の量子論や超弦理論等の理論物理研究分野を含む様々な問題へ応用する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、変形量子化をもとにして非可換幾何学の基軸研究を推進し、数論、積分可能系や物理学との連携を行い、量子微分幾何学という新しい分野の構築を行うことである。現在本研究は2年を経過したが、そのうち、変形量子化問題の研究では、特に収束性の考察を行っている。それにより、先行研究である形式的変形量子化問題とは全く様相の違う研究成果が多く得られてきた。複素メタプレくティック群のように、従来の古典的な幾何学では現れないような群もどきの幾何学的対象を発見することもできている。これらの成果はアーカイブとして9本のプレプリントとして発表している。普遍変形公式 (UFD)を発展させ、量子群に対する厳密Drinfel'd ツイストの公式の構成、非可換対称空間、特に非可換ジーゲル領域の構成や非コンパクトリーマン面のnon-formalな非可換化等多くの成果が得られてきた。さらに、2010年に行った、京都大学数理解析研究所で行ったプロジェクト研究での成果を出版し、多くの注目も得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は順調に進展しており、これをさらに発展させた研究を勧めて行く。今後は、いままで構成してきた厳密変形量子化を用いて、幾何学、数論、素粒子物理学等への発展をめざす。まずは、双曲幾何学および数論への応用についての連携研究を行うための基盤整備を行う。岩澤理論やL-関数についての研究討論を行い、それらのp-進体への拡張問題を含めた非可換化への有効性について議論を進めていく。離散化されたシステムや離散群の作用の剛性等の研究をもとに、離散群作用に付随する非可換幾何学の構成を行う。変形量子化問題と可積分系・代数幾何学 旗多様体の上の量子積分可能系、量子コホモロジー、フロベニウス多様体、tt*構造について、シンプレクティック幾何学や特異点論とのつながりや応用について研究する。Gromov-Witten量とKdVヒエラルキーの解を関連付け、一般化する。また、量子コホモロジーの汎関数的性質や可積分系におけるD-加群の役割について変形量子化の立場から理解する。A∞圏等に関する一般論とその関係についての研究を非可換解析(無限次元リー環)の立場から行う。広義カラビ-ヤウ多様体と4次元ゲージ理論の問題について本研究グループに提案する。素粒子物理との連携研究 T-双対性の立場からミラー対称性についてのアプローチを行う。一般幾何学や四元数多様体のT-双対性についての考察を行う。上記の研究を推進するために、1)研究代表者、研究分担者および連携研究者との定期的な研究討論、2)国内外関連研究者や研究グループとの研究会の開催、3)国内外学会等での発表、4)研究のスタートのために、研究資料や研究ネットワークの構築等研究環境の整備、5)アジアの研究者や若手研究者の本研究への参加の促進、を実施する。
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Research Products
(12 results)