2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23340041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土居 守 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00242090)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 超新星 / 母銀河 / 分光器 / ファブリぺロー |
Research Abstract |
平成24年度は主に2つの活動を行った。活動の第一は、分光観測である。昨年度取得した米国ハワイにあるUH88望遠鏡の面分光装置SNIFSおよびGEMINI-N望遠鏡の面分光観測装置GMOSによる超新星出現領域の可視分光観測の結果をまとめた。結果はHanindyo Kuncarayaktiの博士論文の主要部分となり、またAstronomical Journalに2編の論文にまとめて投稿、改訂を一度行ったところである。 活動の第二として、液晶型エタロンを用いた狭帯域撮像カメラを完成させ、試験観測を行った。こちらは銀河全体の星生成や金属量分布を調べ、特に渦状腕付近での星生成環境を調べることが最大の目的となる。狭帯域撮像カメラはデュワー(CCDカメラ部分)と筺体および光学部品のとりつけ部品が昨年度完成しており、残りの部分(可動ステージ3台・デュワー支持機構・台車・望遠鏡インターフェース・電子部品・機械部品等)を製作し、全体を組み上げ、ソフトウエアも整備した。 2012年9月から10月にかけて、北海道大学の口径1.6mのピリカ望遠鏡にとりつけて試験観測を行い、狭帯域撮像およびファブリぺローモードの撮像試験を行った。その結果、いくつかの改善点(CCD読み出し雑音の低減・ファブリぺローモードの波長較正をしやすい設定とする)を整理した(橋場康人の修士論文としてまとめられた)。これらはすでに対応を開始しており、次年度の試験観測で改善される見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、重力崩壊型超新星出現場所の可視狭帯域撮像観測による研究である。 第一の目的は狭帯域撮像を実現することである。こちらについては、予算削減の影響もあって、海外での観測は断念し、国内望遠鏡で実現をした。ただし、既存のエタロンを活用することにより、当初の計画になかった、ファブリぺローモードを実現し、より狭帯域かつ、異なる波長も含めた観測モードを実現することに成功した。装置としてはほぼ完成し、いくつかの点での性能の向上を残すのみとなった。 また面分光を使った超新星の出現環境の研究については、観測を順調に終え、Ib, IcおよびII形超新星の出現環境について、統計的な解釈を含め、2編の論文にまとめ投稿できた。 全体としておおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度には、まず、面分光観測の論文を出版する。これについては、すでに原稿の改訂を終え、再投稿済である。 また、性能を向上させたファブリぺロー分光器で、近傍銀河の狭帯域撮像を行い、面分光観測では実現できなかった、広視野での輝線分布や金属量分布の観測を行う。具体的には北海道大学のピリカ1.6m望遠鏡にとりつけて、選ばれた超新星母銀河などの観測を行い、Hα線および金属量分布のまとめを行い、面分光観測で不足をしていた、近傍銀河の星団の年齢分布の研究をすすめる。 これら全体をあわせて、近傍に出現をした重力崩壊型超新星の出現環境の研究を完成させる。
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Research Products
(3 results)