2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23340057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蓑輪 眞 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90126178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 主税 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 大洗研究開発センター高速実験炉部, 高速炉技術課長代理 (90421768)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ニュートリノ / 原子炉 |
Research Abstract |
平成23年度に第2次プロトタイプであるPANDA36を関西電力大飯発電所の2号機近傍に設置して約2か月間ニュートリノ測定を行った結果、原子炉稼働中(ON)と停止中(OFF)にニュートリノ由来だと思われるイベント数の差を確認したが、平成24年度はさらに測定結果についてセレクションの最適化と、得られたニュートリノイベント数の系統誤差の見積りを行った。系統誤差の見積りは陽電子及び中性子線源を用いた測定とモンテカルロシミュレーションの結果を比較することで行い、この見積りによって原子炉ON/OFFでのニュートリノイベント数の変化から環境要因の中性子イベントの寄与を減算する際の系統誤差を得た。結果として大飯発電所におけるPANDA36を用いた測定では、原子炉ON/OFFに伴う1日当りのニュートリノイベント数の変化の確度は2シグマであったことが分かった。 PANDA36で得られた結果の解析後、第3次プロトタイプであるPANDA64の開発を開始した。PANDA36からモジュール数が倍程度になったことに伴い、検出器からコンピュータへのデータ転送速度の不足が予想されたため、データ取得系の改良を行った。128本の光電子増倍管のうち有意に発光したものについてのみデータを転送するよう、各増倍管ごとの適当なデータ転送の閾値を測定開始時に求め、ADCに設定されるようプログラムした。この改良によってPANDA36より高いイベントレート下での測定が可能になった。さらにコインシデンスロジックなどを担当する2台のFPGAモジュールの動作ロジックおよび動作周波数を改善し、データ取得プログラムについても解析時間の短縮などの目的で再設計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際に原子炉の建屋外で測定したニュートリノデータを詳細に解析して、バックグラウンドや系統誤差を理解することができた。しかし、東日本大震災の影響で日本のほとんどの原子力発電所が停止したままの状況が続いているため、第2回めの測定が実現できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
東日本大震災の影響で原子力発電所の多くが停止中であるが、関西電力に対し、再稼働後の測定を依頼中である。そのために使用するアップグレードした検出器の整備を行う。原子力発電所での測定が可能になれば、原子炉の運転・停止をさらに精度よく検知できるようにするとともに、プルトニウムの生成と取り出しを検出することが、次の目的となる。
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