2012 Fiscal Year Annual Research Report
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23340058
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 順一 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50212303)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 重力波 / 宇宙論 / インフレーション / 宇宙ひも / 相転移 / テンソルゆらぎ / 原始ブラックホール |
Research Abstract |
本研究計画の目的は、重力波の直接観測が可能になる近い将来を見据えて、これを用いた宇宙論を本格的に展開し、従来の光学的観測では得られなかった宇宙の晴れ上がり以前、特にビッグバン元素合成以前の宇宙の進化を直接観測によって明らかにする方法を確立し、どのような物理的帰結が得られるかを明らかにすることです。 具体的な目標として、(A) Cosmic superstringを持つ宇宙における熱史の決定 (B) スカラー場宇宙論おける重力波生成とその観測的帰結 (C) 原始ブラックホールダークマターの連星系から生成する重力波の計算と観測可能性 (D) Thermal inflationと重力波 (E) 大振幅のテンソルゆらぎ=重力波を生成するインフレーションモデルの構築 の5つを申請時に掲げました。当該年度は、まず(A)については、宇宙ひもの放出する重力波に対し、パルサータイミングデータが強い制限を課すようになってきたため、これを逃れる理論模型の構築に取り組み、成功しました。(B)については、数値計算プログラムをほぼ完成したものの、解析的な見積もりと合わず、その原因を現在追求しているところです。(C)については、通常の重力理論の元では大きな信号は得られないことを見いだしました。(D)については未着手です。(E)については、最も一般的なインフレーションモデルにおいて生成する重力波スペクトルの3点相関がどうなるか、明らかにしました。また、具体的なモデル構築については、プランクのデータ待ちでしたが、2013年3月に上限が発表されたため、それを満たすモデルがどうなるか、調べているところです。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各研究目標毎にバラツキはありますが、おおむね順調に進捗しています。
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Strategy for Future Research Activity |
(B)については、やや遅れているため、担当者を増員する計画です。(E)については、観測データを初期宇宙モデルに還元する一般論の構築に、あわせて取り組みます。
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