2012 Fiscal Year Annual Research Report
ゼーマン遷移を用いたポジトロニウム超微細構造の精密測定
Project/Area Number |
23340059
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
難波 俊雄 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (40376702)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 祥仁 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60282505)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 素粒子実験 / ポジトロニウム / 超微細構造 / ゼーマン効果 / 量子電磁気学 |
Research Abstract |
電子と陽電子の束縛系であるポジトロニウムの基底状態には、スピン状態に応じてオルソとパラの二つの準位があり、両者のエネルギー準位の差は超微細構造と呼ばれる。超微細構造の値は理論計算値と過去の精密測定結果との間で有意なズレがあり、この原因を探るために、過去の測定の系統誤差をなくした新しい測定を行っている。 測定は、超伝導磁石とRFキャビティ、ポジトロニウム観測のシンチレータ系から成るが、前年度までにすべての装置のセットアップが完了していたため、当該年度はほぼ全ての期間、超微細構造の測定を行った。測定は、遷移用のRFを一定に保ったままゼーマン分裂用の静磁場を変化させて、ゼーマン遷移量の変化をスキャンする。およそ一ヶ月かけてスキャンを一回行うが、周囲の物質の超微細構造に対する影響を調べるため、チェンバー内のガス圧を変化させて複数回スキャンを行った。測定は長期間にわたったが、フィードバック系の構築や温度安定化のおかげで、良質のデータが得られた。 最終的には真空中での超微細構造に向けて各ガス圧でのデータ点の外挿を行うが、その際は、ガスのポジトロニウムに対する散乱断面積とポジトロニウムの初期運動エネルギーの情報が重要となる。これらのパラメータは別のセットアップと半導体ゲルマニウム検出器を用いて、2γ/3γ分光を行う事で求めた。 当該年度の以上の測定で、熱化の系統誤差を考慮した上での、ポジトロニウム超微細構造を算出する上でのデータがほぼ出そろった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の通り、長期間の安定測定を行い、必要なデータをほぼすべて取得できた。今後、取得したデータを解析することにより、目的が達成されると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初計画の通り、測定データを得る事が出来た。今後、系統誤差の詳細の見積もりと測定データの解析を行い、結果をまとめる。
|
Research Products
(6 results)