2013 Fiscal Year Annual Research Report
ゼーマン遷移を用いたポジトロニウム超微細構造の精密測定
Project/Area Number |
23340059
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
難波 俊雄 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (40376702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 祥仁 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60282505)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 素粒子実験 / ポジトロニウム / 超微細構造 / ゼーマン効果 / 量子電磁気学 |
Research Abstract |
電子と陽電子の束縛系であるポジトロニウムの基底状態には、スピン状態に応じてオルソとパラの二つの準位があり、両者のエネルギー準位の差は超微細構造と呼ばれる。超微細構造の値は理論計算値と過去の測定の間で有意なズレがあり、この原因を探るために、過去の測定の系統誤差を無くした新しい測定を行った。 測定は、超伝導磁石とRFキャビティ、ポジトロニウムの生成と崩壊を観測するシンチレータ系から成る。過去の測定では取得していなかったタイミング情報を利用し、ポジトロニウム系の時間発展まで厳密に解析を行うのが当実験の重要なポイントである。 本年度は、前年度までに取得したデータを解析し、結果を得た。膨大な統計量のデータをコンピュータによって解析した。モンテカルロシミュレーション起源の系統誤差が極力生じないように注意した。キャビティ中のガス圧と、ポジトロニウム生成からのタイミングウインドウに対応した共鳴カーブをグローバルにフィットすることで、超微細構造の値: 203.3941±0.0016(stat.)±0.0011(sys.)GHzの値が得られた。この値は、理論計算値と1.2標準偏差で無矛盾な結果である。また、時間情報を利用しないで過去の測定と同様の解析を行うと、大きなズレが生じ、熱化を含む系の時間発展が深刻な系統誤差となり得ることも示した。 この結果を論文にまとめ、arXiv: 1310.6923 として発表した。査読論文雑誌にも投稿し、現在、査読のプロセス中である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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