2012 Fiscal Year Annual Research Report
スーパーカミオカンデにおける超新星爆発ニュートリノ観測システム高性能化の研究
Project/Area Number |
23340060
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早戸 良成 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (60321535)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 聡 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 准教授 (50280508)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 超新星爆発 / ニュートリノ / データ収集システム |
Research Abstract |
超新星爆発のメカニズムには未だ不明な点が多く、より多くの観測データが望まれている。超新星爆発時に大量に放出されるニュートリノは、爆発時にどのような過程を経てきたかについての情報も含んでおり、爆発メカニズムの理解に大きく役立つと期待されている。よって、スーパーカミオカンデにおいて超新星爆発ニュートリノのデータを可能な限り詳細に記録しておくことが必要となっている。さらに近年、地球から数百光年という近傍にあるベテルギウスなどが超新星爆発を起こす可能性も指摘されている。この距離の超新星が爆発した場合には、飛来するニュートリノの量があまりに多いため、現在スーパーカミオカンデ観測に用いているデータ収集システムでは、データの一部が不規則に失われてしまい、解析が難しくなる。これらに対処するため、本研究では二つのシステムを構築している。前者は、既存データ収集システムの改良により、超新星爆発らしき事象が発生したときの前後1分間のデータをすべてディスクに記録するシステムである。こちらについては、データを記録するソフトウェアは完成、基本的な動作を確認することができた。後者については、新たに専用のデータ収集用モジュールを開発、スーパーカミオカンデ内で信号を発した光電子増倍管数を常時記録できるような改良を行ってきた。新規開発のモジュールは試作機を用いての基本動作は確認、スーパーカミオカンデの全光電子増倍管分のデータを取得するために必要な数のモジュール生産が完了している。その後、実際のシステムにおいて光電子増倍管の出力を常時記録するための基本的なファームウェアの開発を行い、データを取得する基本部分については作成を完了した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既存データ収集システムを改良することで、超新星爆発の前後のデータを記録するソフトウェアについてはほぼ予定通りに作業が進んでいる。しかしながら、新規開発のモジュールについては、当初の計画になかった、既存システムのデータ収集をより効率化するための連携機能を追加したことから、予定に若干の遅れが生じてきたが、モジュールの必要数製作は終わっており、ファームウェアの実装も進んでいることから、進捗状況を「やや遅れている」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
既存データ収集システムを用いた超新星爆発データ記録ソフトウェアについては、超新星かどうかを判定する手法についてさらに改良を行い、事象数が比較的少ないと考えられる遠方の超新星爆発時にも確実にデータを記録できるようにする。また、この判別が正しく動作しているかどうかを調べるため、実際にタンク内に設置してある光源を発光させ、擬似的に超新星発生時と同じような状況を作り、その動作を確認、性能を評価する。 新開発のモジュールを用いたニュートリノ事象数観測システムについては、既に開発したファームウェアを用いて、信号の出てきた光電子増倍管数を常時記録できるシステムを構築する。この後、超新星爆発の可能性をモジュール内部で検出し、この情報をほかのモジュールと共有、詳細な情報をメモリに蓄積できるような変更を加え、システムとして完成させる。また、これらが正しく動作しているかどうかを、やはりタンク内にファイバーを経由してレーザーダイオード光を送り、動作を確認する。
|