2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23340065
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯嶋 徹 名古屋大学, 現象解析研究センター, 教授 (80270396)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 素粒子実験 / 放射線検出器 / 光検出器 / シンチレータ |
Research Abstract |
本研究では、従来のダイノード型光電子増陪管に代わって、光増幅原理と呼ばれる新しい手法を用いる大口径光検出器の開発を目指している。より具体的には、高電圧で加速した光電子をシンチレータに打ち込んで得られる発光を真空管の外に設置したMPPC等の半導体検出器で読み取る。これにより光検出器の構造を単純化して高い量産差性を確保し、将来のニュートリノ実験等に役立てることを狙っている。 平成24年度においては、前年度に引き続き、小型試験管を使った試験結果の詳細な解析を進め、検出器の時間応答に関する理解を進めた。また、口径8インチの大型光増強管の性能評価を行った。その結果、約3の光増幅ゲインと、1ns以下の時間分解能を得るとともに、光検出効率や時間分解能の光入射位置に対する依存性などを調査した。さらに、現在使用している小型光電子増倍管に代わって、最終目標としているMPPC半導体検出器での読み取りを行うあめの準備を進めた。 以上の研究成果を「Open Meeting for the Hyper-Kamiokande Project」(2012年8月)において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小型試験管を使った原理検証データの詳細な解析により、光増幅原理を用いた新型検出器の時間分解能に関する理解を進めることができた。また、大型8インチ検出器のテストにおいても、検出器の光増幅率や時間分解能に関する基礎的なデータだけでなく、これらの性能の光入射位置に対する依存性などのより詳しい評価を行うことができた。また、Hyper-Kamiokande実験に関する会議で成果報告を行い、具体的な応用に関する議論を開始することができた。光出力の読み出しに用いるMPPCのテストに若干の遅れが出ているものの、研究全体としては、おおむね順調に進んでいると言ってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、大口径光増強管の試作と試験を継続し、光増幅ゲインの改善を試みる。そのために、より高発光量のシンチレータの選定、開発を進めることが重要である。読み出しに用いるMPPCの性能テストを行い、MPPCによる読み出しを実際に行い問題点を明らかにする。 H25年度が本研究の最終年度であるので、国際会議等での発表を行うとともに、具体的な応用として、ハイパーカミオカンデ実験のワーキンググループと連絡を密にとり、高電圧運転などの実用上での問題点についても対策を考究してゆく。
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Research Products
(1 results)