2011 Fiscal Year Annual Research Report
新しいアクティブ標的を用いた中性子過剰不安定核におけるクラスター相関の研究
Project/Area Number |
23340068
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川畑 貴裕 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80359645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷畑 勇夫 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (10089873)
王 恵仁 大阪大学, 核物理研究センター, 講師 (80462670)
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Keywords | アクティブ標的 / クラスター構造 / アルファ非弾性散乱 / 中性子過剰核 / マイクロピクセルチェンバー |
Research Abstract |
本研究では、マイクロピクセルチェンバーを用いて新型アクティブ標的を開発し、不安定核実験の新しい可能性を拓く質量欠損分光法の確立を目指す。さらに、不安定核におけるアルファ非弾性散乱を測定し、中性子過剰核におけるクラスター状態を系統的に探索し、原子核におけるクラスター相関の機構を明らかにすることを目的とする。 本年度は、アクティブ標的装置を治める真空槽とデータ読み出しのための電子回路群を調達し、装置の整備を行った。また、アクティブ標的に封入する検出器ガスの組成を制御するためのマスフローコントローラと微量流量調整装置を導入した。 さらに、データ読み出しのためのデータ収集オンラインソフトウェアの開発を行ったのちに、アルファ線源を用いて、アクティブ標的の性能評価テストを実施した。検出器ガスの圧力、組成、マイクロピクセルチェンバーに印可する高電圧などのパラメータを変化させつつドリフト速度やガス増幅率に関するデータを取得し、これをシミュレーション計算と比較した。測定結果と計算結果はおおむね一致し、ほぼ、アクティブ標的装置が当初設計のとおり動作していることを確認した。 アクティブ標的装置の開発と並行して、アクティブ標的の周囲で反跳した粒子のエネルギーを計測するSi-CsI(Tl)検出器群の整備を行った。エネルギー分解能を向上させるために、CsI(Tl)検出器でのシンチレーション光の集光効率を最大となる検出器の構造を研究し、60Co核からのガンマ線に対し必要なエネルギー分解能を達成することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データ収集のための電子回路群の整備とオンラインソフトウェアの開発に時間を要したために、研究の進捗は当初の計画よりもやや遅れている。しかし、これらの開発に時間を要したものの、データ収集システムは所期の性能を実現している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、加速器からのビームを用いて、アクティブ標的の位置分解能、エネルギー分解能、レート耐性についてのテストを行う。加速器からのビームを用いれば、ビームの入射位置、入射数を制御しつつアクティブ標的に荷電粒子を入射させることができる。 ビームテストでの測定データをもとに、アクティブ標的のヒット情報から、入射粒子および反跳粒子の軌道を三次元的に再構築するための解析アルゴリズムを開発する。 その後、不安定核である12Beをビームとして用いるアルファ非弾性散乱実験を実施する。12Beビームは核子あたり80MeVの18Oビームを9Be標的に照射することにより生成する。入射核破砕反応によって生じた不安定核をフラグメントセパレータによって分離・精製し、これをアクティブ標的装置に照射する。 測定後は、直ちにデータの解析を行う。国内外の研究者と連携しつつ、中性子過剰不安定核におけるクラスター相関の様相に関する知見を得ることを目指す。
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Research Products
(7 results)