2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23340077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川村 静児 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (40301725)
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Keywords | 重力波 / レーザー干渉計 / 量子雑音 |
Research Abstract |
輻射圧の反バネ効果によって引き起こされる鏡の角度不安定性を回避するための方法をほぼ確立し、実験を行い、その有効性を確認した。またレーザーパワーを、輻射圧を利用してレーザー干渉計を用いて1%の精度で測る手法を開発した。以下、それぞれの研究実績について述べる。 腕共振器は2重振り子として吊り下げられた20mgの超軽量鏡(平面鏡)と、同じく2重振り子として吊り下げられた1インチ鏡(曲率半径1m)からなる。1インチ鏡の方にはビーム軸方向の位置制御および角度制御用のコイル・マグネットからなるアクチュエーターが装備されている。20mg鏡の方は中段マスを磁石でエディーカレントダンピングを施すことによって振り子の共振モードを抑えている。この共振器においては、輻射圧の反バネ効果により、パワーを上げると20mg鏡の角度不安定性が引き起こすことが分かっている。これに対し、我々は、1インチ鏡の姿勢制御を行うことにより20mg鏡におけるビームスポットの位置を制御し、この不安定性を回避する方法を検討してきた。そこで、実際に光共振器を動作させ、この姿勢制御を行った。その結果、20mg鏡の揺れを光てこレーザーにより測定したところ、制御をすることにより角度揺れの共振ピークが小さくなることを確認した。 また、輻射圧雑音の低減には光検出器の量子効率をできるだけ高める必要がある。しかし、問題は従来のパワーメーターでは精度が低く、本実験に必要な計測ができないことであった。そこで、輻射圧が引き起こす超軽量鏡の変位をマイケルソンレーザー干渉計を用いて測定することにより、光のパワーを正確に測定し、光検出器の量子効率を1%の制度で測定する方法を確立し、その有効性を実験および解析により実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は当初は国立天文台において行われていた。しかし、受け入れ研究者である川村の国立天文台から東京大学宇宙線研究所への異動に伴い実験装置を平成24年3月に移動した。この移動前、数か月間は、移動の準備に費やされた。このため実験の進展は当初の予定よりやや遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず、実験室の移動に伴う、実験施設の環境作りから始める。そして実際に実験装置をくみ上げ、移動前の状態に復帰させる。そして、光共振器の角度不安定性を防ぐための制御システムを改良し、その特性評価を行う。特に、制御をすることにより角度揺れの共振ピークが小さくなることを理論的に理解する。 輻射圧を利用したレーザーパワーを1%の精度で測る手法に関しては、更なる理論的解析を行い、論文としてまとめる。
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Research Products
(4 results)