2013 Fiscal Year Annual Research Report
巨大誘電応答を示すリラクサー強誘電体における動的不均一性の解明
Project/Area Number |
23340082
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
是枝 聡肇 立命館大学, 理工学部, 准教授 (40323878)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | リラクサー / 強誘電体 / 準弾性光散乱 / フラクタル / セントラルピーク / ブリルアン散乱 |
Research Abstract |
平成25年度は,まず東北大学大学院理学研究科より立命館大学理工学部への異動に伴って,分光実験設備の移設を行う必要があった. 平成25年8月頃までに立命館大学においてほぼすべての測定系を再構築することができ,これまでに観測を行ってきたマグネシウム・ニオブ酸鉛(PMN)について,3桁の周波数レンジに渡って自己相似な光散乱スペクトルが再現されることを確認した.また,PMNに強誘電体であるチタン酸鉛(PT)を固溶させた系(PMN-xPT)についても観測対象を広げ,すでに報告されているPTの固溶量による物性の系統的な変化に対して,広帯域自己相似光散乱スペクトルがどのように対応するのかについて詳細に調査することができた. PMNにPTを固溶していくと,PTの固溶率(xの値)が増加するにしたがって,x=0はリラクサー,x=0.3 の場合はモルフォトロピック相境界(MPB)と呼ばれる臨界的な組成,x>0.3は強誘電体(FE)となることが報告されている.その変遷を光散乱スペクトルで系統的に観測すると,いずれのxの値に対しても自己相似な光散乱スペクトル,すなわちべき乗で表される周波数分布が観測された.このことはリラクサー特性に関わらず,結晶内部に自己相似構造(フラクタル)が存在することを示唆している.また,いずれの場合にも「べき」が大きく変化する境目の温度が存在し,その温度はMPBおよびFEでは相転移点に,相転移のないリラクサーでは誘電率が最大となる温度に対応していた. これらの結果から,PMN系のリラクサー物質では一般に誘電率が最大となる温度付近で,べき乗光散乱スペクトルの「べき」が大きく温度変化するという法則性を初めて明らかにできた.この性質は,必ずしも強誘電性相転移を示さないリラクサー型の高機能誘電材料に対する新たな評価指針として利用できる可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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