2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23340084
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
舛本 泰章 筑波大学, 数理物質系, 教授 (60111580)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池沢 道男 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (30312797)
冨本 慎一 筑波大学, 数理物質系, 助教 (90396599)
|
Keywords | 量子ドット / 等電子トラップ / 電子スピン / 単光子発生 / 時間分解カー回転 |
Research Abstract |
1.GaAs:N単一等電子トラップ(NNペア)からの単光子発生 半導体中の格子点に置かれた不純物に束縛された電子・正孔対(励起子)が、エネルギーのそろった狭いエネルギー幅を持つ単一光子を発生することが実証されてきたが、応用に近いIII-V族半導体では窒素Nをデルタドープされたリン化ガリウム結晶GaP:N中の単一等電子トラップ(NNペア)に続いて、Nをデルタドープされた砒化ガリウム結晶GaAs:N中の単一等電子トラップ(NNペア)からの発光にHanbury-Brown-Twiss量子相関測定により単光子発生を表すアンチバンチング現象を初めて見いだした。また、発光寿命が650psであることを明らかにした。さらに、GaAs:N中の単一等電子トラップ(NNペア)からの単光子をマイケルソン干渉測定することで位相緩和時間を測定し、位相緩和時間が2Kの低温で172psまで伸び、温度上昇に伴い短くなりフォノン吸収を伴って位相緩和する温度依存性を見いだした。 2.円・楕円偏光ピコ秒パルスによる量子ドット中の電子スピン初期化と操作 量子ドット当たり平均で1個の電子をドーピングしたチャージチューナブルInP/InGaP量子ドットでの時間分解カー回転の測定の結果、磁場B=1Tでは47psの周期をもつ振動が量子ドット中の電子の横磁場の周りのスピン歳差運動が観測され、この振動が励起強度の変化によって位相が反転することを見いだした。この現象は共鳴パルス光によって生じたスピン偏極の方向が光強度の増加により反転していることを示している。この位相反転の様子は、わずか2%の楕円率を持った円・楕円偏光パルスを、光電場強度に比例するラビ周波数をΩ_0=1THzから15THzに変えて電子・トリオン4準位系に共鳴励起する設定で、電子・トリオン4準位系の密度行列シミュレーション計算によって再現することが出来る。あわせて観測される励起強度による電子スピンの緩和時間の変化(弱励起の場合は200ps程度、強度、強励起の場合は1ns以上)は、4準位系の電気分極の状態の相違によると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GaAs:N単一等電子トラップ(NNペア)からの単光子発生を論文として発表し、わずか2%の楕円率を持った円・楕円偏光ピコ秒パルスによる量子ドット中の電子スピン初期化と操作が可能なことを示せた。
|
Strategy for Future Research Activity |
単一等電子トラップの研究でも、量子ドット中の電子スピン初期化と操作の研究でも、大きな進展があったので、二つの課題の研究ともこの進展を踏まえて引き続き推進していく。
|
Research Products
(18 results)