2011 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ領域変調分光法によるコヒーレント波束ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
23340087
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
溝口 幸司 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (10202342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河相 武利 大阪府立大学, 理学系研究科, 准教授 (00214586)
大畠 悟郎 大阪府立大学, 理学系研究科, 助教 (10464653)
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Keywords | テラヘルツ領域 / 変調分光法 / コヒーレント波束 |
Research Abstract |
本研究は,THz領域変調分光装置を開発し,半導体ナノ構造薄膜を主対象として,励起子やキャビティ-ポラリトンによるコヒーレント波束の生成・緩和ダイナミクスを明らかにすることを目的としている。 本年度において,THz放射,THz反射およびTHz領域の変調分光が同時に測定できるTHz領域変調分光装置を開発し,その性能評価を行った。開発したTHz領域変調分光装置の性能として、約0.5~6THzまでの領域の分光スペクトルを得ることができた。今後は、S/Nを向上し、周波数領域を広げる予定である。 CuCl微小共振器中のキャビティ-ポラリトンの緩和ダイナミクスを明らかにすることを目的に、CuCl微小共振器の作製を行い、角度分解反射スペクトルを測定した。その結果、作製したCuCl微小共振器のキャビティ長を変えることで、Z_<12>励起子に対しラビ分裂エネルギーを約150~230meVの範囲で、Z_3励起子に対しラビ分裂エネルギーを約100~135meVの範囲で制御できることがわかった。また、サファイア基板上のCul薄膜では観測されないテラヘルツ領域のコヒーレント横光学(TO)フォノンにおいて、金ナノ薄膜上にCuI薄膜を作製することで、コヒーレントTOフォノンが観測されることを初めて見出した。さらに、アントラセン結晶をナノ領域のサイズにし、自由励起子による再吸収効果を低減することで、ダビドブ分裂した高エネルギー側の励起子からの発光を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規にTHz領域分光装置を開発することができ、半導体薄膜試料中のコヒーレント波束の緩和ダイナミクスの一端を観測することができた。しかし、開発したTHz領域分光装置の測定周波数帯域が約0.5~6THzであり、予定の周波数領域と比べ、やや狭い状況にある。この原因として、超短パルスレーザのパルス幅と、THz電磁波の発生源が原因であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、超短パルスレーザを調整することでパルス幅を30fs以下にし、THz電磁波の発生源に非線形光学材料のGaSe結晶を用いることで、THz領域分光装置の測定周波数帯域を予定の約30THzまで広げる。周波数帯域を広げ、改良したTHz領域分光装置を用い、キャビティ構造を有する半導体ナノ構造薄膜を主対象として,励起子やキャビティ-ポラリトンによるコヒーレント波束の生成・緩和ダイナミクスを明らかにする。
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