2012 Fiscal Year Annual Research Report
液滴エピタキシーによる高対称量子ドットを用いた電子相関と光子対発生の研究
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23340090
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
迫田 和彰 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, ユニット長 (90250513)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 液滴エピタキシー / 量子ドット / 電子相関 / 光子対 / 励起子複合体 / 有限要素法 / 配置間相互作用 / 微細構造分裂 |
Research Abstract |
(1) 世界最高面密度の量子ドットの自己形成:これまでのGaAs(100)基板に代えて,原子拡散が抑制される(311)A基板を用い,さらに,Ga液滴の形成温度を従来の200度から30度に下げることにより,1平方センチメートル当たり7000億個のGa液滴の形成に成功した。同じ基板温度でAs分子線を照射してGaAs量子ドットの結晶成長を行い,AlGaAsキャップ層作製後に800度で急速熱処理を行うことで,上記の超高面密度を保持しながら結晶成長時の欠陥を修復して,GaAs量子ドットの高品質化も達成した。 (2) 励起子分子からのカスケード発光によるもつれ合い光子対発生:昨年度までに作製した微細構造分裂の小さい高対称性GaAs量子ドットを用いて,励起子分子からのカスケード発光による,偏光状態が量子もつれした光子対発生の検証実験を開始した。 (3) 多体系の束縛エネルギーのドット形状・ドットサイズ依存性の理論解析:有限要素法による1電子状態の波動関数の算出と配置間相互作用の方法を組合せた,励起子準位,および,励起子複合体の解析を進めた。昨年度までに行ったCdTe量子テトラポッドの励起子準位の解析をCdS, CdSe, ZnTe, ZnSeテトラポッドにも適用し,吸収スペクトルの実験観測値とよく一致する計算結果を得ることができた。これと並行して,量子ドットのトリオンおよび励起子分子についてスピン多重項毎の配置換相互作用の行列要素を算出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
年度当初の研究計画がすべて実施できたことに加えて,1平方センチメートル当たり7000億個という,世界最高面密度のGaAs量子ドットの高品位自己成長にも成功したことから,量子ドットレーザーや量子ドット型太陽電池などの高性能化への寄与も期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進展しており,当初計画の変更の必要は無い。今後は,もつれ合い光子対発生の実験検証と,多体系の束縛エネルギーのドット形状・ドットサイズ依存性の理論解析を達成する。
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Research Products
(15 results)