2011 Fiscal Year Annual Research Report
トゥルーDMFTの開発-モット転移の第一原理計算-
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23340102
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤井 久純 大阪大学, 理学研究科, 教授 (70124873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 昌子 大阪大学, 理学研究科, 助教 (30397640)
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Keywords | 動的平均場近似 / モット転移 / 第一原理電子状態計算 / KKRグリーン関数法 / 遷移金属カルコゲナイド |
Research Abstract |
1.第一原理DMFTのうちシングルサイト多体問題部分(多体問題ソルバー)に第一原理摂動展開を用いた方法の定式化を行なった。多体問題ソルバーで取り込まなければならない効果のうちハートリー・フォックレベルを除いた最低次の既約自己エネルギーは相互作用に関して2次の項である。これをKKRグリーン関数法によって求めた無摂動グリーン関数を用いて書き下すことは形式的には容易であるが、このような自己エネルギーは非局所ポテンシャルの形になり、これを第一原理計算で扱うことは困難である。これを局所化するために最適化有効ポテンシャル法(OEP)を用いる。このステップで多体摂動論から密度汎関数法に移ったことになる。これによって、自己エネルギーはエネルギーに依存する局所ポテンシャルの形になり、あとは通常のKKR-CR法で開発してきた手法を用いて素直に問題を解いていくことができる。今年度はこの筋書きを実際の計算にのせることができる段階にまで定式化した。局所化するプロセスまで、定式化に沿った計算の道筋を具体化し、コーディングの開発を行い、現在も進行中である。 2.最低次の既約自己エネルギーを求めるために必要な完全なグリーン関数をつくる必要があるが、高いエネルギーからの寄与を自由なプロパゲータで置き換えることにより、スペクトラムが無限にのびていることからくる困難を回避することによって、摂動の精度を落とさない計算手法を開発した。 3.多体問題ソルバーの部分のみをアンダーソン模型タイプのババードUによる展開を用いた簡易型計算を行う計算コードを作成し、DMFTの効果を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最低次の既約自己エネルギーを求めるための数値計算において、幾つかの困難な点が明らかになった。予想していたことではあったが、問題解決のために新しいアイデアが必要である。解決のためのブレークスルーになお至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
全体のスケジュールの進行からめて特に遅れは見られないので研究計画の変更は必要ではないが予想外の問題を抱えている数値計算上の問題を解決することに当面は力を注ぐ。
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Research Products
(6 results)