2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23340110
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
竹下 直 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (60292760)
|
Keywords | 異方的圧力 / キュービックアンビル型高圧装置 / 銅酸化物高温超伝導体 / 鉄砒素系高温超伝導体 |
Research Abstract |
平成23年度は震災の影響が大きく、寒剤の供給ストップだけでなく、電力融通などの影響もあり実際に試料を加圧下で冷却するなどの実験までこぎ着けることが難しかった。このため本年度はキュービックアンビル装置に用いる焼結ダイヤモンドアンビルおよびMgO製ガスケット材料のテストを中心として、来年度に行う実験への準備作業を中心として行った。本年度の目標として、異方的な圧力発生に関する基礎的な技術の獲得と言うことをあげていたが、これはガスケット材料に関しては行うことができ、より堅い材料での圧力発生の様子を見ることが出来た。これによりガスケット材料に対して部分的に堅いもの、柔らかいものを用いることで、圧力発生空間への異方的な圧力発生を定性的にではあるが見込むことが可能になった。これに付随して、圧力発生空間に用いるテフロンカプセルの形状を従来と異なる扁平な形状のものを用いることで異方的な圧力(この場合は短くした方向に対して相対的に高い圧力の発生を見込んでいる)の発生を行うアプローチも行った。これに関しては、部品製作は完了することができ、今後はこの状態での異方的な圧力発生の確認をBaFe2As2単結晶などを用いて行っていくことになる。アンビルに関しては、焼結ダイヤモンドアンビルの試作を計画通り2個行い性能を評価したところ、問題なく15万気圧の発生を確認することができた。冷却を伴う実験としては唯一、頂点フッ素型の銅酸化物高温超伝導体であるBa2Ca2Cu3O6.8F1.2(F-0223)の静水圧的環境下でのTcの圧力相図を見いだした。Tcはonsetでは実に140Kに到達し、これは頂点フッ素系では世界最高記録である(投稿準備中)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
震災の影響が非常に大きく、実際の測定に関する実験に関しては事実上行うことが難しかったため、外部発表などにまで結びつく成果に関してはほとんど今年度は得ることが出来なかった。これに伴い、本来測定に投入されるはずであったエフォートを圧力発生に関する技術的な検討に集中して行ったため、24年度以降に関して測定にウェイトをおくことで、当初の計画通りの進展になると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
一つの反省として、連携研究者による試料の提供も震災の影響等がありスムースに行うことが難しかったことがある。これを改善するために、24年度以降に、試料作成チームとして外部(理研、CROSS)の研究者に研究分担者として加わってもらい、銅酸化物高温超伝導体の試料に関しての供給体制を整えた。本年度は電力供給等の阻害要因は回避される見込みなので、23年度に余り進めることが出来なかった等方的圧力下での各種超伝導体の圧力下相図の構築を最優先として進めていく。
|