2011 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒極端紫外光源による生体モデル分子系におけるプロトン移動のダイナミクス
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23340116
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
関川 太郎 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (90282607)
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Keywords | 高次高調波 / プロトン移動 / 時間分解分光 |
Research Abstract |
本研究では、申請者が開発した放射光級の光量をもつ高次高調波光源を用いて、時間分解光電子分光の手法で、生体機能を担っている分子内水素結合をもつサリチリデンアニリンにおけるプロトン移動のダイナミクスを研究する。 本年度は、既存のフェムト秒チタンサファイアレーザーシステムを増幅することを目指した。高次高調波を発生すると共に、適切な波長で試料を励起するためには、現在のパルスエネルギー(900マイクロジュール)では小さいと考えているからである。本研究予算で購入したNd:YLFレーザーを新たに導入することにより,レーザー出力の安定性と増幅効率が向上した.さらにもう一段1パスの増幅器を加えることにより、パルス圧縮後で1.3ミリジュール程度まで増幅することができた。当初の目的は1.5ミリジュールであったので若干少ない.励起光と被増幅光のモードマッチングに手間取った.しかし,1パス増幅により,想定以上にビーム形状がガウスビームに近くなり,平行ビームに近い出力光を得ることができた.また,ビーム径を拡大できたため,パルス圧縮器での非線形効果を避けることができた.そのため,実効的に高調波発生に利用できるパルスエネルギーを2倍程度に増すことができた.また,分子を励起するためにビーム径を2/3に縮小して第二高調波を発生したところ,200マイクロジュール得ることができた.励起用に十分と判断している. レーザー増幅器の開発と平行して、分子線発生用のパルスバルブを購入し、分子線発生のための準備を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザー増幅器の開発にやや時間がかかった.モードマッチングに手間取ったのと,ビーム断面内において局所的にパルス圧縮されているのを全体が圧縮されていると見誤ったためである.現在は,幸いにして改善することができ,現在は予定通り進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
予定では,超音速分子線発生装置の基礎設計まで進めたかったが,まだ開始できていない.時間の問題なので,できるだけ早く開始したい.その他,特に障害になっていることはない.
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Research Products
(14 results)