2013 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒極端紫外光源による生体モデル分子系におけるプロトン移動のダイナミクス
Project/Area Number |
23340116
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
関川 太郎 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90282607)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 高次高調波 / 時間分解光電子分光 / サリチリデンアニリン / ブタジエン / 時間遅延補償分光器 |
Research Abstract |
高次高調波による光電子分光は深い分子軌道を観測することができるため,分子の化学結合状態を実時間で観測することができる.紫外光で最高被占有軌道(HOMO)のみをプローブしていたこれまでの時間分解光電子分光とは異なる情報を,高次高調波により得ることが可能となった.我々は時間遅延補償分光器により単一次数の高調波を取り出し,18 eV 以上にわたる広帯域をプローブする時間分解光電子分光システムを製作した.昨年,それを共役分子である1,3-butadieneに適用し,励起後,基底状態が20~120 fsの時定数で回復することを見出した.本年は,理論化学者に協力をもとめ,第一原理計算により電子状態を求めて実験結果を比較することにより,励起状態からの緩和過程の具体的描像を得た.これらの成果は,レーザー学会と応用物理学会において招待講演に選ばれた. また,紫外光源をもちいて,サリチリデンアニリンと3つの誘導体の時間分解光電子分光を行った.ππ*遷移を励起する際,励起波長を短波長よりにすると1ピコ秒前後の寿命の成分が顕著に観測される一方,長波長によりにすると50フェムト秒前後の成分が主に観測された.量子化学計算によると,分子の捻れ角によりππ*遷移のエネルギーがかわり,同時に捻れ角が大きいとプロトン移動の障壁が高くなることが予言されている.このモデルによると,短波長光で励起すると主に捻れた分子が励起されるため,プロトン移動に時間を要する.また,長波長光で励起すると,ただちにプロトン移動がおこる.本研究により,励起状態におけるポテンシャル面の多次元性が実験的に明らかにすることができた.
|
Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|