2012 Fiscal Year Annual Research Report
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23340122
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
甲賀 研一郎 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (10315020)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 界面 / 濡れ転移 / 疎水性水和 / 水 / 溶媒和熱力学 / 疎水性相互作用 |
Research Abstract |
【界面相転移の理論】 2成分流体界面における濡れ転移の微視的平均場密度汎関数モデル(微視的モデル)を元に,新しい界面ポテンシャルモデルを構築した.本モデルは微視的モデルと異なるが,それと同様に以前見出された全種類の濡れ転移を与えることがわかった.本モデルは解析的に解くことのでき,結果は数値計算と一致した.さらに,本モデルに対して界面ゆらぎの効果を加え,臨界濡れ転移の特性が平均場近似の結果から変化するのかどうかを検討した.この結果はH25年度に論文発表する予定である. 疎水効果と相関関数の理論 疎水効果における重要な課題の一つは疎水性相互作用の解明である.本課題では,メタン水溶液のシミュレーションを無限希釈に近い条件で行い,メタン分子間の2体相関関数を求め,その積分から浸透第二ビリアル係数を計算することを試みた.精密な計算を行うために,1.メタン分子間直接相互作用の引力部分はシミュレーションでは消して計算し,後から2体相関関数にその寄与を加え,2.長距離相関の寄与を厳密な漸近式から評価し,ビリアル係数に加えた.計算の結果,メタンの浸透第二ビリアル係数は273 K付近では正の値をとり,温度上昇とともにほぼ単調に減少し,373 K付近では絶対値の大きな負の値をとることが明らかになった.この結果についてはH25度に論文発表する予定である.2体相関関数の積分は,Ornstein-Zernikeの式,Kirkwood-Buffの式,McMillan-Mayerの式により圧縮率,部分モル体積,浸透第二ビリアル係数を与える.分子中心の選択に依存しないことは一般的議論から知られているが,本課題ではこの点について,1,2,3次元剛体球で解析的・数値的にそれを示し,水+プロパン系においてMDシミュレーションにより数値計算で例示した.この研究内容は2013年J. Chem. Phys.誌に発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十分な研究時間を確保することは難しいが,その他業務に支障なない時期に海外共同研究者の所属機関へ出張し,集中的に研究,議論を行うことにより,おおむね目的を達成することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
界面相転移の理論については,今後も界面ゆらぎの効果をより精密な形で取り入れ,解析的計算を進める.また,海外共同研究者と連携し,より現実系との関連が明確なモデルを構築することを試みる. 溶液の理論に関しては, 1.不均一溶液系および電解質水溶液中における疎水分子の溶解度および疎水性相互作用を計算する.特に,疎水分子の溶解度,平均力ポテンシャル,浸透第二ビリアル係数の温度依存性が,溶液の圧力計数で説明できるかどうかを確かめ, 2.溶媒の気液界面における溶質溶解度の温度依存性,2体相関関数の温度依存性を明らかにする ことを試みる.
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Research Products
(13 results)