2012 Fiscal Year Annual Research Report
火星の地下に巨大な海が存在したか―新しい仮説の提唱と複合的アプローチによる検証
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23340126
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 英昭 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (00312992)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 火星 / 水循環 / 火星探査 / 地下水 / 泥火山 / メタン |
Research Abstract |
火星には、かつて強い磁場があり、液体の水が大量に存在していたことから、生命が誕生した可能性が最も高い地球外天体は火星であると考えられている。本研究は、ここで重要となる火星における海と湿潤気候の有無について、「地下に海が存在した」という全く新しい仮説を提唱するとともに、火星固有の水循環の様式について検討しようとしており、さまざまな水循環を示唆する地形に着目してマッピングを行っている。今年度は、火星の衛星画像の中で最も解像度の高いHiRISEのステレオペア画像を用いて、超高解像度(解像度約1メートル)の数値標高モデルを作成することに成功した。この成果をベースとして、北部平原における地下の水の挙動についての情報を得るために、北部平原にみられる円形の小丘について検討を行った。その結果、こうした地形が泥火山起源であることを強く示唆しており、その粘性は水を多く含む泥水に調和的な10^4Pas程度であることが明らかになった。またこうした泥水の噴出条件から、地下のある一定深度(およそ100-200m)に滞水層が存在するとする説が最も整合的であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、水循環を示唆するさまざまな地形について、丁寧なマッピング作業を行っている。今年度は特に超高精度の数値標高モデルを取り扱うための手法を開発することができたため、マッピング及び定量的な検討を極めて高い精度で進めることができるようになった。また、昨年度までに行ったアウトフローチャネルに関する研究成果が、Geophysical Research Lettersに採択されるなど、国際誌への成果公表も順調に進んでいる。このことから、当初研究目的の達成度として、おおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
北部平原における泥火山について、その滞水層深度に関する知見が得られたことから、これを本研究の目的である大規模な水循環モデルと組み合わせた形で検討を深め、国際誌に論文としてまとめたい。また同時に、超高精度の数値標高モデルが自由に使えるようになった利点を生かし、今後は近年の水循環の結果と示唆される地形についてもマッピングを行い、特に現在も水が流れている証拠と言われる地形について検討を行う。
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[Presentation] Dynamic Early Mars2012
Author(s)
Dohm, J.M., R.C. Anderson, H. Miyamoto et al
Organizer
Third Conference on Early Mars: Geologic, Hydrologic, and Climatic Evolution and the Implications for Life
Place of Presentation
Nevada, USA
Year and Date
20120521-20120525
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