2012 Fiscal Year Annual Research Report
気候変化予測の不確実性低減に向けて:気候モデルと衛星データの融合的アプローチ
Project/Area Number |
23340137
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 雅浩 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (70344497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増永 浩彦 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 准教授 (00444422)
岡本 創 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (10333783)
塩竈 秀夫 独立行政法人国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 研究員 (30391113)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 気候変化 / 不確実性 / 物理アンサンブル / 気候モデル / 雲 / 人工衛星データ |
Research Abstract |
衛星プロダクトによる気候モデル検証方法の詳細を確定し、岡本・増永がそれぞれ開発している衛星シミュレータをMIROC5に適用した。具体的には、MIROC5大気モデルを観測データで初期値化して、衛星データの利用可能な期間について多数の疑似気象予報実験を実施した。3次元の雲や気象場、放射加熱などの瞬間値を保存し、衛星プロダクトと衛星シミュレータの出力との間で頻度解析、コンポジット解析などを用いて比較を行った後、モデルにおける雲-放射フィードバックを評価し、CO2濃度倍増時あるいは海面水温上昇時(ともに温暖化時の大気への強制源となる)の雲放射強制の変化について議論した。この結果は、3本の投稿論文としてまとめられた。 MIROC5および国外機関の複数のモデルによる各種の理想温暖化実験が別プロジェクトで実施され、それらのデータが利用可能になってきたため、気候モデル内で温暖化時の雲放射強制やフィードバックがばらつく要因について解析を行った。昨年度から継続している、モデルにさまざまな形で摂動を与えて気候変化不確実性の幅を推定する物理アンサンブルの手法についてもまとめ、今年度には2本の論文が発表された。 上記の成果は、8月に開催されたアジア太平洋地球物理学連合会議など、いくつかの国際会議における招待講演として報告された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、物理アンサンブル実験および擬似気象予報実験の実施は研究3年目前半までに終了することにしていたが、ともに2年目(本年度)に終了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
気候モデルMIROC5を用いた物理アンサンブル実験をさらに拡張し、パラメタりぜーションのスキームを差し替えつつ、モデルパラメタに摂動を与える手法を試みる。これにより、モデルの誤差と気候変化時の不確実性の定量化を図る。 今年度の成果から、衛星データで検証可能な擬似予報実験を用いて温暖化時の雲の変化メカニズムを調べることができると分かったので、解析結果を6月に予定されている雲フィードバックに関する国際相互比較プロジェクトの会合で報告する。 本年度は、新しい気候モデルアンサンブルであるCMIP5のデータが活用できるとともに、IPCC第5次評価報告書(AR5)公開予定の年でもある。従って、国内外の研究グループとの連携を強化するとともに、研究成果を論文あるいは解説などの形で積極的に発表する。執筆を行い、AR5やCFMIPと歩調を合わせて国内で気候変化予測とその不確定性に関する国際ワークショップを開催する。AR5以降を見据えた温暖化研究が国内大型プロジェクトとして 始まっており、本研究の成果をそこに取り込んで活用する。
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Research Products
(19 results)