2011 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外光スペクトラムアナライザによる温室効果ガスカラム濃度の高精度計測手法の開発
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23340140
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長濱 智生 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (70377779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 亮 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (80212231)
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Keywords | 地球環境システム / 温室効果ガス / 地球観測 / リモートセンシング |
Research Abstract |
本研究は、小型の近赤外光スペクトラムアナライザ(OSA)を用いて太陽光吸収スペクトルの分光観測を行うことで大気中の温室効果ガスのカラム平均濃度を高い精度で測定する手法の確立することを目的としている。本研究期間中には1.6~1.8μm帯の吸収スペクトルを測定し、それらから二酸化炭素(CO_2)及びメタン(CH_4)の大気中カラム平均濃度を1%以下の精度での測定を実現することを目指している。本年度はまず、環境等の変化や経時変化によるOSAの分光特性の変化を把握するための波長・波長分解能準実時間測定システムの開発を行った。温室効果ガス観測中にも準実時間で自動的にOSAの分光特性を測定するために、OSAや光パワーメータ等をGPIBによって接続し、制御パソコンによって自動で分光特性の計測を行うプログラムを作成した。本システムを実験室でテストしたところ所望の分光特性データを取得できることが確認できた。今後、ガスセルの種類やガスの圧力を最適化し、短時間で精度の良い分光特性データが得られうようにする。また、並行してOSAでの観測で得られる太陽光吸収スペクトルからリトリーバル法によりCO_2及びCH_4のカラム平均濃度を推定する手法について研究・開発を行った。大気微量分子による太陽直達光の吸収スペクトルを求めるための放射伝達モデルとしてAtmospheric & Environmental ResearchによるLBLRTMを用いることでOSAの波数分解能よりも10倍程度細かい波数間隔で吸収スペクトルを計算する。このときに、太陽フランフォーファー線の吸収パラメータとして別途最新データベースの値を用いて太陽光スペクトルを計算できるように改良し、これを背景光源として利用することでより精確に実際の観測時における温室効果ガスによる吸収スペクトルを求めることができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OSAの納入がやや遅れたものの、当初の計画であったOSAの波長分解能等の特性測定をするための準備が完了した。また、解析ソフトの開発についても当初の計画に沿い、放射伝達計算及び太陽フランフォーファー線パラメータの組み込みが完成した。以上から、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は今のところ順調に進展していることから、今後も当初の計画に沿って進める。今年度中に高分解能FTIRとの同時比較観測を開始すると同時に、OSAの分光特性モデルを解析ソフトに組み込んで、CO_2及びCH_4カラム濃度解析の高精度化を実現する。
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