2012 Fiscal Year Annual Research Report
赤道域対流圏界面領域オゾンのライダーによる高分解能観測
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23340143
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
長澤 親生 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (80145664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 泰邦 首都大学東京, システムデザイン研究科, 助教 (10305419)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ライダー / オゾン / 差分吸収 / 赤道域 / 対流圏界面 |
Research Abstract |
オゾンライダーを設置するインドネシア・コトタバンにおける我々のミーライダー連続観測結果から、赤道域の対流圏界面高度はシーラス(巻雲)の発生頻度が昼夜を問わず高いことが判明した。当初、2波長(On:289nm, Off:355nm)でのオゾン用差分吸収ライダーを考えていたが、2波長の波長差が大きいと、ミー散乱の後方散乱係数や消散係数の波長依存性による測定精度への影響が顕著になることが数値シミュレーションにより判明した。そこで、シーラス高度をターゲットとした波長差の小さい組み合わせ(On:289nm, Off:317nm)とシーラス高度以下をターゲットとした従来の組み合わせ(On:289nm, Off:355nm)の3波長方式にすることとした。 平成23年度に購入したNd:YAGレーザーを励起源とする上記3波長を発生させる固体結晶による紫外波長発生装置を新たに構築した。主な構成は、Nd:YAG基本波(1064nm)から光パラメトリック発生器により1572nmを生成し、1064nmと1572nmの和周波で得られる634nmの第2高調波を取ることで317nmを生成することに成功した。355nmはNd:YAGレーザーの第3高調波を取ることで容易に得られ、1572nmと355nmの和周波から289nmを得ることができる。 また、インドネシア・コトタバンに紫外線を透過する天窓を配したオゾンライダー専用の観測棟を設置し、現地の受け入れ態勢が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では今年度中にインドネシアでの観測を開始する予定であったが、2波長方式から3波長方式へ変更したため、レーザー開発に時間を要したのが主な原因である。3波長方式を取り入れたことにより、当初より精度の高いオゾン分布の観測が期待できるようになったことは、本研究の目的に合致するものであり、本研究を進めるうえで致命的な遅れではない。
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Strategy for Future Research Activity |
前項の達成度で記載したとおり、レーザー開発に遅れが生じているが、ライダーシステムとしてほぼ完成しており、インドネシアへ輸送する前に国内において試験観測を行う。現地の受け入れ態勢はすでに整っているので、試験観測が終わり次第、ライダーシステムをインドネシアへ輸送し、次年度後半から現地で観測を開始する予定である。
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Research Products
(8 results)