2011 Fiscal Year Annual Research Report
電離圏嵐の数値予報:北極・赤道域観測と連携したシミュレーション手法開発と実証
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23340144
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
藤原 均 成蹊大学, 理工学部, 教授 (50298741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 勉信 九州大学, 理学研究院, 准教授 (20243884)
陣 英克 情報通信研究機構, 電磁波計測研究センター, 専攻研究員 (60466240)
品川 裕之 情報通信研究機構, 電磁波計測研究センター, 主任研究員 (00262915)
野澤 悟徳 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (60212130)
小川 泰信 国立極地研究所, 研究教育系, 講師 (00362210)
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Keywords | 極域電離圏 / 熱圏 / EISCATレーダー / 太陽風 / オーロラ |
Research Abstract |
オーロラ現象にともなう極域へのエネルギー流入と、その結果として生じる電離圏変動を調べるために、2011年1月10-11日に取得したEISCATレーダー特別観測データの解析を行った。地理緯度69.6度のトロムソ(KST)で観測された電離圏データには顕著な地方時変化が見られた一方で、地理緯度78.2度のロングイアビン(ESR)では、はっきりとした地方時変化は見られなかった。ESRデータにはオーロラ降下粒子によると思われる電子密度変動や電場の増大に伴うイオン温度の増大が顕著に現れ、激しく変動する極域電離圏の様子がとらえられた。例えば、高度300kmでのイオン温度に着目すると、KSTデータでは電場増大の影響は少なく、イオン温度は800K程度でほぼ一定であったが、ESRデータでは準周期的な電場変動に伴って千数百Kにまで増大した。この期間の人工衛星、SuperDARNレーダー観測によると太陽風(惑星間空間磁場)の変動により、オーロラ・オーバまたは対流電場の広がりが準周期的に変化したため、ESR上空は準周期的にオーロラ・オーバルの内外に位置することになりエネルギー流入も準周期的になったと考えられる。次年度には、ここで見られたオーロラ・オーバルの収縮・伸展による電離圏・熱圏変動の数値シミュレーションを実施し、極域での電離圏・熱圏擾乱への影響について調べる。 本年度末にトロムソへ赴き、EISCAT特別観測を2012年3月12~13日に実施した。3月7日~13日にわたって、太陽フレア・CME現象が連続的に発生し、太陽風変動によって引き起こされた極域電離圏変動を2つのレーダーサイトで観測することに成功した。IPY期間データ(太陽活動極小・地磁気静穏時)、昨年度の観測データと比較しながら、太陽活動の上昇期にある今年度のデータを解析予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災の影響や研究代表者の所属変更などにともなう研究環境の整備に予想以上に時間がとられることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
極域レーダー観測とGCMシミュレーションとを用いた極域電離圏・熱圏研究の手法の確立を最優先で進める。その後、観測結果を踏まえた極域へのエネルギー流入量の統計モデルや、一酸化窒素を計算するための数値コード開発を実施する。計画停電等で計算機の長時間使用が不可能となる可能性もあるので、高時間空間分解能のモデルを用いた大規模計算よりも、低分解能モデルでの数値計算に重点を置いて、様々な条件下でのシミュレーションを多数実施するよう計画を変更する。
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