2012 Fiscal Year Annual Research Report
電離圏嵐の数値予報:北極・赤道域観測と連携したシミュレーション手法開発と実証
Project/Area Number |
23340144
|
Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
藤原 均 成蹊大学, 理工学部, 教授 (50298741)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
品川 裕之 独立行政法人情報通信研究機構, その他部局等, 研究員 (00262915)
小川 泰信 国立極地研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (00362210)
三好 勉信 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20243884)
野澤 悟徳 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (60212130)
陣 英克 独立行政法人情報通信研究機構, その他部局等, 研究員 (60466240)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 極域電離圏 / 熱圏 / EISCATレーダー / 太陽風 / オーロラ / CME / Naライダー / 大気波動 |
Research Abstract |
本研究は、オーロラ現象にともなう極域へのエネルギー流入と、その結果として生じる電離圏変動を観測的に理解し、現状の観測では把握することが出来ない中性(熱圏)大気変動を数値シミュレーションによって明らかにし、電離圏・熱圏変動の数値予報のための手法を開発(蓄積)することを目的としている。前年度(2012年3月12-13日)に取得したEISCATレーダー特別実験データの解析を行い、極域電離圏変動について調べた。太陽活動が徐々に活発化していることを反映し、EISCAT観測の数日前から太陽フレアに伴う太陽質量放出(Coronal Mass Ejection: CME)現象が多発した。上記観測では、そのうちの1つの影響による太陽風変動が引き起こした電離圏変動を捉えることに成功した。地理緯度69.6度のトロムソ(KST)、地理緯度78.2度のロングイアビン(ESR)での観測から、太陽風変動に対応した広範な緯度帯へのエネルギー流入の結果、激しく変動する電離圏をモニターすることが出来た。また、局所的に極めて強い加熱が生じていたことも明らかとなった。ここでの結果は極めて貴重な観測例であり、極域電離圏・熱圏変動の典型例の1つを与えるものとして、更なる詳細な解析と大気大循環モデルによるシミュレーションを実施する予定である。EISCATレーダーサイトに設置されているNaライダーにより、高度約80-110 kmでのNa密度、温度変動を観測した。また、極域での下層大気・超高層大気上下結合に関する数値シミュレーションを実施した。下層大気に起源を持つ、大気重力波・潮汐波が極域電離圏・熱圏大気に及ぼす影響について定量的な議論が可能になるものと期待される。 本年度末にトロムソへ赴き、EISCAT特別実験を2013年3月14、15日に実施した。これまでの観測データとの比較により、詳細な解析を進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の遅れを完全には取り戻していないため。EISCATレーダー観測、及びライダー観測は概ね順調に進展し、良質なデータの取得に成功している。また、データ解析も概ね順調で、興味深い現象も見つかっている。一方、シミュレーション研究に関しては、大気上下結合については順調だが、上部熱圏変動については予定通りの進展とはなっていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
極域レーダー観測結果をまとめる段階になったことから、今後(最終年度)は、観測結果に対応したGCMシミュレーションを最優先で進める。低分解能モデルでの数値計算に重点を置いて、様々な条件下でのシミュレーションを多数実施する。
|
Research Products
(34 results)