2012 Fiscal Year Annual Research Report
ジオスペースにおけるトリガード・エミッションと高エネルギー粒子輸送の研究
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23340147
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大村 善治 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (50177002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木谷 聡 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (30251937)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 波動粒子相互作用 / 放射線帯 / ホイッスラー / コーラス / EMIC / 相対論的電子 / 粒子加速 / ピッチ角散乱 |
Research Abstract |
ホイッスラーモード波のコーラス放射の多くは周波数が上昇するライジングトーンであるが、中には周波数が下降するフォーリングトーンも存在している。このフォーリングトーンの生成過程について、理論的な考察から磁気赤道域の上流側で共鳴電子の多くが波のポテンシャルに捕捉されることによって生成されることが判明して、それを裏付ける計算機シミュレーションを実行して理論検証を行い、論文発表した[Nunn and Omura, 2012]。このフォーリングトーンの生成原理が解明できたことにより、コーラス放射の非非線形成長理論が完成し、これまでのライジングトーンおよびフォーリングトーンに関する非線形プロセスを統一的に記述し、解説するレビュー論文を発表した。[Omura et al., 2012]. この非線形理論で導かれるコーラス放射の閾値および最適振幅を最近の衛星観測と比べると、非常に良い一致を見ることができ、非線形理論の正しさを検証することが出来た[Kurita et al., 2012]。一方、コーラス放射と同じ原理で生成される低周波のEMICトリガードエミッションについてハイブリッドコードによる計算機実験により、ヘリウムイオンが関係する波動モードと100keV相当の高エネルギープロトンとの相互作用によりエミッションが生成されることを報告した[Shoji and Omura, 2012]。ホイッスラーモードコーラス放射は放射線帯の電子を有効に加速させるが、EMIC波はその相対論的電子を非常に効率よくピッチ角散乱させることが分かってきており、その非線形理論解析を行い、テスト粒子シミュレーションにより理論を検証し[Omura and Zhao, 2012]。また、極域におけるサイクロトロン不安定による相対論的電子の加速過程についても計算機実験を行い発表した[Lee et al., 2012]。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジオスペースにおけるトリガード・エミッションの理論解析は順調に進んでおり、並行して行なっている計算機シミュレーションにより検証も出来ている。一方、人工衛星による磁気赤道付近での観測データが未だ十分に出てきておらず、観測データとの比較による理論検証が遅れている。高周波のホイッスラーモード・コーラスのデータについては、THEMIS衛星のデータで検証ができたが、低周波のEMIC波に関する現象の事例が少なく、今後の観測と解析を待たなければならない。 放射線帯の粒子輸送に関しては、昨年度に行った計算結果を論文としてまとめる作業が遅れている。これは得られたテスト粒子シミュレーションの理論解析が遅れているためであり、次年度に重点的に取り組むべき課題であるる認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
コーラス放射による相対論的電子加速過程を解析するテスト粒子シミュレーションを再開し、様々なパラメータによって電子フラックス形成過程が変化する様子を理解し、理論を構築する。一方、EMCI波によるピッチ角散乱が非常に重要であることも分かってきたので、このEMIC波の効果とコーラス放射の効果をあわせて同時に解析出来るシミュレーションシステムの構築も検討する。
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Research Products
(15 results)