2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23340152
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小宮 剛 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (30361786)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | エディアカラ紀 / カンブリア紀 / 後生動物出現 / カンブリア爆発 / 南中国 / 掘削 / 海洋栄養塩濃度 / 多元素多同位体解析 |
Research Abstract |
今年度は、南中国大塘坡地域のクリオジェニア紀の堆積物や南中国三峡地域の前期カンブリア紀と前期ー中期カンブリア紀境界の掘削試料の岩相層序について詳細な記載を行った。そして、南中国三峡地域の前期カンブリア紀と前期ー中期カンブリア紀境界の有機物の炭素と窒素含有量と同位体を分析した。また、貴州省の瓮安地域に対応するリン酸塩岩や南中国三峡地域のリン酸塩ノジュール中から胚化石を取り出し、それらの微小観察や三次元像解析を行った。 その結果、初期カンブリア紀の水井沱―石碑境界において、初期カンブリア型の高硝酸/低リン酸塩海洋から現在型の低硝酸/低リン酸塩海洋へ移行することが分かった。また、その変化は急激ではなく、遷移的であることがわかった。また、エディアカラ紀~カンブリア紀の炭酸塩岩―黒色頁岩のC,Fe,Ca同位体や有機物の炭素・窒素同位体、炭酸塩鉱物のリン濃度の結果をもとにその間の海洋中の溶存Fe濃度、Ca濃度、窒素濃度、リン酸濃度を推定し、エディアカラ紀では溶存鉄含有量やリン濃度に富み、エディアカラ紀後期以降Caや硝酸濃度に富むようになることが分かった。それらの研究結果を論文化した。また、南中国三峡地域の火山灰層からジルコンを分離し、系統的に年代決定を行った。化石の研究としては、エディアカラ紀前期の地層から海綿動物の芽球と思われる化石を発見した。 加えて、初期カンブリア紀の寛川溝層のリン酸塩岩中の刺胞動物胚化石の三次元像解析の結果は初期カンブリア紀の刺胞動物は五放射性構造をもち、当時は五放射性相称の刺胞動物が多く存在していたことを示す。一般に、刺胞動物は放射性相称または4や6対称構造を持つとされてきたので、カンブリア紀初期には現生の生物では見られない生物構造が存在していたことを示す。 今後、これまでの研究結果をまとめ、生命進化の原動力の解明に繋げるとともに論文化を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の予定通り、南中国大塘坡地域のクリオジェニア紀の堆積物や南中国三峡地域の前期カンブリア紀と前期ー中期カンブリア紀境界の掘削試料の岩相記載を行い、かつ、有機物の炭素同位体や窒素同位体分析した。加えて、瓮安地域や三峡地域の胚化石の詳細観察や三次元像解析を行った。また、エディアカラ紀の環境変動に関する一連の研究を論文化した。化石研究や論文化は、当初予定を前倒ししており、当初の計画以上に進展していると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに得た一連の研究結果をまとめ、論文化する。また、表層環境変動と後生動物出現と多様化のモデルを構築する。加えて、化石研究に関しては、胚化石などの微小化石の三次元像解析を進める。
|
Research Products
(18 results)