2011 Fiscal Year Annual Research Report
上部マントルのレオロジーに与える超低歪速度の効果の検証
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23340162
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安東 淳一 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50291480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平賀 岳彦 東京大学, 地震研究所, 准教授 (10444077)
森下 知晃 金沢大学, フロンティアサイエンス機構, 准教授 (80334746)
大藤 弘明 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 助教 (80403864)
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Keywords | マントルのレオロジー / オリビン / 歪速度効果 / コットレル雰囲気 / 格子欠陥 |
Research Abstract |
本年度は、Xenoliths typeのペリドタイトとして佐賀県高島、福岡県黒瀬、秋田県目潟、ハワイオアフ島ソルトレイクで採取した試料、Alpine typeのペリドタイトとして幌満、ウエンザル、オマーンで採取した試料の観察を行った。その結果、以下の事が明らかとなった。 Xenoliths typeの特徴:オリビンの粒径が約0.5mm-3mmと比較的粗粒で、等粒状もしくはポーフィロクラスティック組織を有し、粒界は直線的で三重点が多く観察された。キンクバンド的な亜結晶粒界が発達しているが、波動消光はあまり認められない。LPOはD-typeと考えられるものが多い。コットレル雰囲気を示唆する特定元素の転位芯への濃集は認められない。 Alpine typeの特徴:ポーフィロクラスティック組織を有し、オリビンの粒径はポーフィロクラストで約1mm、動的再結晶粒子で約0.02mm-0.1mmである。粒界は房状もしくはアメーバ状で、波動消光が顕著に認められた。LPOはA-typeとE-typeが主であった。コットレル雰囲気を示唆する亜結晶粒界へのFeの濃集が確認できた。亜結晶粒界の直上と近傍のFo値の差は約0.3%~1%である。 Xenoliths type の試料では、コットレル雰囲気を示唆する特定元素の転位芯への濃集は認められなかった。このことから以下の3つの可能性が考えられる。1)ペリドタイトは上部マントル中でコットレル雰囲気を形成しない。2)オリビンのD-typeのLPOは高差応力(高歪速度)条件下で形成されるが、この様な条件ではコットレル雰囲気は形成されない。3)一旦は形成されていたコットレル雰囲気が、静的回復作用によって消失した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TEMの不調による微細組織観察に一部遅れが生じているものの、当初の研究計画に記述していた通りの進展状況に近い状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
試料に用いているペリドタイトに関して、より詳細な変形の履歴を明らかにする為にTEMを用いたWeak-Beam Dark-Field(WBDF)法を適用し、転位のすべり系を明らかにする。そして、変形の履歴の見地から、Xenoliths typeとAlpine typeで確認されたコットレル雰囲気を示唆する亜結晶粒界へのFeの濃集の有無の原因を明らかにする。また、変形実験を通じた、コットレル雰囲気の発現の精査を開始する。
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Research Products
(6 results)