2012 Fiscal Year Annual Research Report
上部マントルのレオロジーに与える超低歪速度の効果の検証
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23340162
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安東 淳一 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50291480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平賀 岳彦 東京大学, 地震研究所, 准教授 (10444077)
森下 知晃 金沢大学, 理工研究域自然システム学系, 教授 (80334746)
大藤 弘明 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 准教授 (80403864)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マントルのレオロジー / オリビン / コットレル雰囲気 / 歪速度効果 |
Research Abstract |
天然の試料観察:コットレル雰囲気の形成の素過程を明らかにする為には、試料が経てきた変形履歴を明らかにする必要がある。本年度は各試料が有する変形履歴を、オリビンのすべり系の変化と差応力値を求める事から明らかにした。オリビンのすべり系の決定には、電子線後方散乱回折(EBSD)を用いた結晶方位定向配列(LPO)と、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたWeak-Beam Dark-Field(WBDF)法を用いた。また差応力値の決定には、再結晶粒径と転位密度による地質差応力計を使用した。観察した試料は昨年度と同様に、ゼノリスタイプは佐賀県高島、福岡県黒瀬、秋田県目潟、ハワイオアフ島ソルトレイクで採取したもの。Alpineタイプは幌満、ウエンザルで採取した試料である。その結果、ゼノリスタイプのカンラン岩は、約10MPaの差応力による定常クリープを経験した後に、静的回復作用を受け、更にその後、約50MPaのパルス的な付加応力を受けた可能性が高いことが分かった。定常クリープ中の卓越すべり系は、黒瀬,目潟,ソルトレイクの試料ではA-type、D-type、E-type、高島の試料はB-type、或いはC-typeであった。Alpineタイプの試料に関しては、幌満ペリドタイトはE-type、ウエンザルペリドタイトはA-typeの卓越すべり系を示している。地質差応力計から求めた応力値と合わせて考慮すると、幌満ペリドタイトは、低差応力場(約30MPa)から高差応力場(約100MPa)への変化を経た事が示唆される。ウエンザルペリドタイトは、亜結晶回転による動的再結晶の起こるような高温状態から、バルジング再結晶の起こる低温状態への変化を経た事が示唆される。これら両者が経た変形履歴はペリドタイトの上昇にともなうものであると考えられる。 変形実験:現在は実験目的に適した試料セル開発を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変形実験に関しては思うような結果を得ることが出来ていないが、その他の研究は十分に新しいデータを得ることが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
天然の試料に関しては、EBSD 法とWBDF法を用いたオリビンのすべり系の解析を進め、各試料が有する変形履歴の詳細を明確にする。その上で上部マントルにおけるコットレル雰囲気の発現の有無を決定する。また、変形実験からもコットレル雰囲気の発現の有無を議論できるように努力する。
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Research Products
(2 results)