2013 Fiscal Year Annual Research Report
圧力制御システムを用いたコンドリュールの凝縮反応に関する実験的研究
Project/Area Number |
23340165
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
今栄 直也 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (60271037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 亮 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (70321560)
磯部 博志 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (80311869)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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Keywords | コンドリュール / 原始太陽系星雲 / 再現実験 / 低Ca輝石 / クライノエンスタタイト / オルソエンスタタイト / 珪酸塩メルト / 反応 |
Research Abstract |
実験計画に基づき、本研究のために設置した圧力制御炉を用い実験を多数回行った。実験出発物質試料には1回の実験あたり30-60mgの炭素質コンドライトの小片を用い、白金あるいはモリブデン線に吊るした。アルミナ製の実験容器下部に準備したモリブデン箔上にシリカ粉末を置けるようにし、シリカ粉末の有無による生成物の差異を調べた。全圧は主に100Paで水素雰囲気で制御した。実験容器は約1mm径の穴を上部に開けており、水素ガスは容器内部に入り、還元雰囲気を作る。最高到達温度は1700~1500Kの範囲で、100-10000K/hの冷却速度で制御した。平成25年度においては、シリカ粉末のない条件下で16回、シリカ粉末ある条件下で11回の実験から生成物を回収できた。これらは、樹脂に包埋・固化し、研磨厚片を作成後、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で組織観察を行うとともに、エレクトロン・プローブ・マイクロアナライザー(JEOL JXA-8200)で詳細な生成物の組成分析を行った。これにより得られた結果は次のようにまとめることができる。シリカに富むガス源がある場合、SiO分圧がメルトに対して過飽和になる。この場合、溶融した炭素質コンドライト出発物質上へのシリカの凝縮が起き、これにより、クライノエンスタタイトが主要相となる。この実験生成物の組織と組成は、非平衡普通コンドライトやCR2コンドライトのコンドリュールの特徴とよく類似する。一方、シリカに富むガス源がない場合、SiOガスがメルトに対して不飽和になる。この場合析出する低Ca輝石は、ずっと少量となり、クライノとオルソ相の量相の低Ca輝石が析出する。これは、CO3やCV3などの多くの炭素質コンドライトのコンドリュールの特徴と類似する。このことは異なるコンドライトの化学グループ間のコンドリュールの形成環境の差異を反映していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、実験を順調に進めることができた。実験結果から、多くの新しい知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
出発物質はこれまで炭素質コンドライトの切断片を用いてきた。再現性を確認するために同一試料で粉末をペレットにした出発物質で生成物の確認を行う。再現性が認められれば、これまでの実験データを論文にまとめて国際誌へ投稿する。また、今回行った原始太陽系星雲を模擬した環境では鉄成分の蒸発が効いていることがわかった。この蒸発を制御する新たな実験系を計画している。
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Research Products
(3 results)